「オバマ広島訪問」を手放しで喜ぶメディアへの違和感
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オバマ訪問を称えるメディアへの疑問

オバマ米大統領が5月27日、伊勢志摩サミットに合わせて広島を訪問する。歴史的訪問であるのは確かだが、一方で米大統領選の共和党候補に確定したドナルド・トランプ氏が日本の核武装を容認する発言を繰り返している現実をどう受け止めるのか。

オバマ大統領は来年1月に任期が切れる。レームダック状態の大統領にとっては、広島訪問を自らのレガシー(遺産)にする思惑もあるだろう。大統領は「核なき世界」を訴えてノーベル平和賞を受賞している。広島訪問はレガシーに一段と花を添えるはずだ。

大統領の思惑がどうあれ、私は広島訪問を歓迎する。くさすつもりはまったくない。だが、大統領が広島に来たところで、世界の平和と安定が核抑止力に頼っている現実は変わらない。それどころか、むしろ事態は悪化している。そちらのほうがよほど心配だ。

まず、北朝鮮は言葉だけ「非核化」を言い出したが、実際には核開発をあきらめてはいない。本音と建前はまったく違う。

米国も本音と建前が違う。オバマ政権は核兵器削減に取り組んでいるが、だからといって核を放棄したわけではない。加えて最近のトランプ発言だ。私はトランプ氏がいまや日本にとって「最大のリスク要因」になったとみる。

オバマの広島訪問を大々的に報じる一方、同じ紙面でトランプ発言について1行も論評がない新聞にも違和感を感じてしまう。まるで理想の世界しか見えていないかのようだ。

そこでトランプ発言を振り返ろう。

トランプ氏は日本に対して米軍駐留経費の負担増を求めている。CNNのインタビューでは、駐留経費の全額負担を求め、応じなければ「在日米軍の撤収を検討する」と述べている。背景には「米国の経済力が低下している」という認識がある。

日本はどう反論するのか。