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徹底調査 東京の不動産「大暴落」全詳細情報
タワーマンションも一戸建ても
遠出客が少ない今年のGWは、不動産業界にとってチャンスだったのだが

 大震災から2ヵ月が経とうとしているが、その間、東京の不動産市場は大きく変動した。一戸建ては1000万円、マンションも560万円ダウン。今後、2~4割安くなる地域も出てくるという。

「地震に強い」といっても

 ゴールデンウィークの真っ只中、東京・江東区東砂に建つ分譲中のマンションを訪ねた。昨年竣工した、20階建てのタワーマンションである。

 最寄り駅から徒歩十数分とやや距離はあるが、すぐ近くを荒川が流れ、公園もあるので、さほど苦にならない。玄関を出るとスカイツリーや富士山が見渡せ、眺望も素晴らしい。

 現地ではイベントが開催され、内覧しに来た家族連れが無料で振る舞われていた焼きそばを頬張り、ヨーヨー釣りなどを楽しんでいた。MacBookやWiiなどが当たる抽選会もあって賑やかだ。

 東日本大震災のあと、買い控えや自粛ムードが漂う中、多くの人たちがこのマンションに集まっていたのにはワケがあった。販売当初の価格より、大幅に値引きして売り出されている。例えば8階の3LDK(73・41ヘーホーメートル)の部屋はもともと、4710万円だった。ところが4月以降、約300万円安い、4440万円で販売されているのだ。

 これだけでもかなりの割り引きだが、もっと下がらないのか。担当の営業マンと交渉すると、

「もし購入を決めていただけたら、この価格からさらに100万円値下げが可能です」との答えが返ってきた。

 それに加え、もし契約に至った場合、マンション購入諸費用やエコ家電、造作家具などの中から、50万円分をプレゼントするという。実質、最初の設定価格の約1割(450万円)も値下げするワケだ。

「負けない」ことで知られる財閥系デベロッパーも例外ではない。

 東京メトロ半蔵門線・清澄白河駅から徒歩数分の35階建てタワーマンションの販売担当者は最初、強気の姿勢を崩さなかった。

「3月11日の震度5強の地震で被害が出ず、はからずも地震に強いマンションであることを実証する形となり、お客さまも安心されるようです。震災前に30戸ほど残っていたのですが、現時点では15戸ほど。震災前より早いペースで決まっています」

 とはいえ、試しに約3500万円の広めの1LDK(約50ヘーホーメートル)の価格交渉をしてみると—。

「うーん、もし、ウチ1本に絞っていただけるんでしたら、諸経費のうち数十万円は、上の人間にかけあってみます。あと、実はいまキャンペーン中でして、期間限定で100万円安くすることができます」

 こうした値引きは、タワーマンション・一戸建てといった住居タイプや新築・中古の新旧を問わず、震災後、東京の不動産市場で広く見られる傾向だ。

 なぜなら、いま不動産業界では、「価格が大暴落するのではないか」と市場の行方を悲観的に見る専門家が多い。震災による消費マインドの冷え込みが影響し、「価格を大幅に下げなければ抱えている在庫をさばけない」と考えているからだ。

 不動産分野の実務・専門家など1051人を対象に、ニッセイ基礎研究所が「東日本大震災の不動産市場への影響」を尋ねる緊急アンケートを実施したところ、「非常に深刻」「深刻」「やや深刻」と答えた人が、実に9割を超えた。

 同研究所不動産研究部長の松村徹氏が解説する。

「震災の影響で今年のGDPは下がると見込まれています。企業の業績が悪化し、雇用不安があれば、消費者はマンションや一戸建てを買うのを手控える。短期的に見て、不動産が下がらないわけがありません」

 交渉の席での値下げのみならず、今後は最初の値付けそのものが暴落する可能性が高い。その背景には、千葉県屈指の高級住宅街・浦安市で起きた液状化の深刻な被害も影響している。

「『老後はいま住む一戸建てを売って老人ホームに入ろうと思っていたのに、それができなくなった』『斜めに傾いた家をジャッキアップするのに500万~1000万円もかかる』と言って肩を落とす50~60代の姿を見て、不動産の新規購入をためらう人たちが出てくるのも当然でしょう。

 実際、新浦安では、震災前後に決済・引き渡しが行われた新築ブランドマンションがあったのですが、周辺で起きた液状化の被害を目の当たりにし、数百万円の手付け金を支払っておきながら直前でキャンセルを申し出た人もいたと聞いています」(新浦安駅近くの不動産業者)

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