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緊急事態!この円高に「耐えられる企業/耐えられない企業」

黄昏のアベノミクス、結局デフレが続くのか…
週刊現代 プロフィール

「安倍政権下では、黒田日銀の量的緩和政策によって、1ドル=125円という『実態なき円安』が演出されてきた。

しかし、日本経済の実力からみても、1ドル=100円前後が妥当な為替水準です。円が105円を割り込めば、これまでアベノミクスで取り繕ってきたものが剥がれ落ちる。

例えば、5月11日に決算発表を控えたトヨタの場合は、円高が1円進むと400億円の減益となる計算です。トヨタグループの企業では、デンソー愛知製鋼が1ドル=110円換算で今期決算を出しています。円高に歯止めがきかなければ、グループ全体の損失は数千億円規模になるでしょう。

仮に100円、そして95円と円高が進んでいった場合、自動車業界全体の減益幅は2兆円に達しかねない。アベノミクスの恩恵を受けていた業界ほど、大ダメージを被る」(アセットベストパートナーズ代表の中原圭介氏)

日経平均株価2万円、1ドル=125円。アベノミクスで、ほんのひと時見ることができたこんな景色も、しょせんは夢にすぎなかった。いつか必ず、覚めるのだ。

アベノミクスの下、円安の恩恵を最も享受してきたのが重厚長大・輸出依存型の企業だ。しかし今、円高への「巻き戻し」がついに始まり、収益は目減りしている。

前述したトヨタに限らず、自動車各社の見通しは厳しい。'16年3月期の世界販売台数が、過去最高の153万台となったマツダでさえ、今期純利益は前期比15%減。来期はいっそう円高が進むとみて、営業利益2割減を見込んでいる。

円高が、タカタのエアバッグリコール問題、三菱自動車の燃費不正に次ぐ、大打撃となることは確実だ。

また、造船業界・建設機械業界にも、円高進行が追い打ちをかける。

川崎重工業三井造船は、昨年から続く原油安で新規造船が減っていることに加えて、円高がダブルパンチとなって苦境に陥っています。コマツ日立建機は、かねてからの中国での不振が業績に響いている。こちらは中国・原油安・円高のトリプルパンチということになります」(ちばぎん証券顧問・安藤富士男氏)