アメリカの専門家が疑問視する「原発40年ルール」を日本が盲信する不可思議さ

国際アドバイザーの声を無視?

原子力規制委員会は先月20日の会合〔☆1〕で、運転開始から40年が経過する関西電力高浜原子力発電所1・2号機(福井県高浜町)の再稼働に向けた新規制基準適合性審査での『合格』に当たる審査書〔☆2〕を正式決定した。

☆1:https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/kisei/00000130.html
☆2:https://www.nsr.go.jp/data/000147890.pdf

ただ、今年7月7日までに、設備の詳細設計を定めた「工事計画の認可」と「運転延長の認可」を受けなければ運転期間40年を超えた再稼働はできず廃炉になるため、まだまだ予断は許されない。

この“原発40年規制”は、多くの問題を抱えている。私はこの問題について、以下の通り、これまで何度も指摘してきた。

http://diamond.jp/articles/-/77976
資源無き国ニッポンにエネルギー安全保障は不可欠 ? 原子力政策に米国専門家2名からの助言

http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/42231
“原発40年規制”の根拠は「科学と技術」でなく「政治と空気」 ~ 専門家でない政治家が決めた危険な安全ルール

http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/42353
“原発40年規制”は原発殺処分ルールではない! ~ 世界標準に合わせた「原子力平和利用ルール」に昇華させよ

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44241
新国立競技場には声をあげるのに、なぜこの問題には目をつむるのか ~ 日本の国富を年間4兆円ムダにする「原発40年規制」こそ今すぐ見直しが必要だ

つまり、“原発40年規制”は、科学的根拠のない「政治的な空気」で決められたものであり、世界の常識である「稼働させながらの審査」を行わず、日本国内で使われるべき数兆円規模の巨額の国富を徒らに海外流出させてしまうようなルールなのである。

これだけではない。他に新たな問題が浮上している。

「国内外の多様な意見に耳を傾け、孤立と独善を戒める」とは、原子力規制委の組織理念の一つである。だが、田中俊一委員長は“原発40年規制”に関する海外の専門家からの意見を完全に無視する方針のようだ。

先月13日の原子力規制委の会合〔☆3〕で、「国際アドバイザーからの意見について」〔☆4〕と題する議案が審議された。これは要するに、現行の日本の原子力規制に問題があり、それを是正すべきとの国際アドバイザーからの指摘。
☆3:https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/kisei/00000129.html
☆4:http://www.nsr.go.jp/data/000146894.pdf

翌日の電気新聞〔☆5〕は、国際アドバイザーの一人であるメザーブ氏が、その書簡の中で、『原子力発電所の運転延長制度について、「審査完了に失敗した結果が、必然的に運転停止になってしまうことは不適切」などと指摘。「ライセンス更新を規定する法令の調整が適当」と助言した。

これについて規制委は、新規制基準に基づく適合性審査については申請時期に制約はなく、延長認可審査を行う上で時間的な問題は生じないとして、「若干の誤解がある」(田中委員長)とした』と報じている。
☆5:http://www.shimbun.denki.or.jp/news/main/20160414_01.html