悪夢再来!? 慰安婦問題巡る「日韓合意」が白紙に戻る可能性
わずか半年。韓国内で「見直し論」が急浮上
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悪夢が現実となる兆し

昨年末に、日韓両政府が電撃的な合意に達した旧日本軍の従軍慰安婦をめぐる問題(いわゆる「慰安婦問題」)。四半世紀にわたって日韓間の政治的課題として横たわり、最近では日韓関係における最大の懸念と位置づけられていた。それだけに、日韓政府による協議が「最終的かつ不可逆的な解決」で合意したことには、多くの人が驚きを持って受け止めたはずだ。

それほど画期的な出来事だった。「日韓関係がトンネルから抜け出す光が見えてきた」。日韓ビジネスに携わる人から、そうした声が出るのも不思議はなかった。

だが、そうした期待の一方で、不安を抱いた人が少なくなかったことも間違いない。各紙の世論調査では、日韓合意を「評価する」と答えた人が朝日新聞で63%、産経新聞で59・7%に達しており、全体で6割程度の支持を受けていることが読み取れる。興味深いのは、産経新聞の世論調査にあった「慰安婦問題が再び日韓で懸念となると思うか」という質問に対し、実に81・2%が「思う」と回答している点だ。

「最終的かつ不可逆的な解決」が、韓国側の都合によって空手形となり、再び日韓間の懸念として浮上する。多くの人が日韓合意に胸をなで下ろした一方で、こうした悪夢が現実となる兆しが、早くも見え始めている。

元慰安婦の強い反発

まず、今回の日韓合意とは何だったのか、簡単に振り返ってみよう。最大のポイントは、慰安婦問題での日本政府に対する法的責任の追及を、韓国政府が事実上放棄した点にある。

日本政府は、1965年の日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決済み」という立場を崩しておらず、韓国側の求める「法的責任」を認めることはできない。そのため合意では、岸田文雄外相が軍の関与を認めたうえで「日本政府は責任を痛感している」とし、日本政府の予算10億円を投入して韓国政府が元慰安婦支援の財団を作るという形をとった。

責任を認めて、日本側が公金を拠出することは、韓国側に「法的責任をとらせた」との解釈を与えることもできる。しかし、日本側はそうした立場は取らない。外交の産物といえる玉虫色の内容で、日韓は合意にこぎつけたのだ。日韓両政府が、合意を受けて「国連および国際社会で互いに非難、批判することを控える」と述べたことからも、この問題に終止符を打ちたいとの決意がうかがえる。

だが、予想どおりではあったが、慰安婦問題で強い影響力を持つ「韓国挺身隊問題対策協議会」(挺対協)などの市民団体を中心に、合意に対する強い反発が起きた。日本政府の法的責任を追及していくことを目的の一つと掲げていただけに、その批判の矛先は韓国政府にも向けられている。

元慰安婦の中には、合意を受け入れるとする人もいた。しかし、そうした声はお構いなしに、挺対協などの市民団体は「合意反対」を語る元慰安婦の声のみを前面に打ち出し、あたかもそれが元慰安婦の総意であるかのように運動を展開している。