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最強企業トヨタで「偉くなる人」に共通すること〜30万人の中から部長・役員はどう選ばれるのか?
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豊田社長はカンパニー毎に競争し、切磋琢磨するよう発破をかける〔PHOTO〕gettyimages

30万人のなかから50人の役員、500人の部長はどうやって選ばれていくのか?

「人事はメッセージだ」。豊田章男社長がそう言って憚らないように、人事には社長の考えが凝縮されている。トヨタの人事の裏を徹底取材してみると、トヨタの強さの秘訣から課題までが見えてきた。

取材・文/井上久男

部長になれるのは同期で1割

トヨタ自動車が4月18日からカンパニー制を導入し、「平成の大組織改編」に乗り出した。'16年3月期決算では過去最高益を更新する好業績の中で、敢えて組織を大きく変える狙いは何なのか。

「全員がバッターボックスに立ち、『ナイス・スイング』と声を掛け合おう。これから私は評論家ではなく、バッターボックスに立つ人を評価する。そして空振りの三振は許すが、見逃しの三振は駄目だ。この組織改革が課題を解決するための『ソリューション(解)』ではなく、仕事の仕方を見直すための『オポチュニティー(機会)』と考えて欲しい」

豊田章男社長は'16年度方針としてこんな挨拶を社内向けに行っており、この人事改革には秘められた大きな意図がある。それは後述するとして、まずはトヨタの人事の仕組みを見ていこう。

トヨタは連結ベースで30万人、国内には単体で7万人の社員を抱える。このうち約4万人が生産現場で働く技能系、残りが事務系・技術系(総合職)と業務職(一般職)となる。それぞれのキャリアは次ページの表通り、組織ピラミッドを上がっていくことになる。

大卒の事務・技術系の場合、基幹職3級(課長級)が約7300人、同2級(次長級)は約1700人、同1級(部長級)は約480人、役員は約50人。3級は入社15年程度、2級は20年程度、1級は25年程度で昇格し、大卒の9割は3級にまでは昇格できるものの、そこから先は狭き門だ。

たとえば、'16年1月1日付で1級に昇格したのは58人。同期の10%程度しか1級には昇格できない。ちなみに1級になると年収2000万円を超えることが多い。

では、トヨタではどういう人が偉くなるのか。