中国経済「極論」に埋もれた真の姿
~マクロの指標ではわからない「潜在力」を見落とすな

メディアが報じない「新しい芽」
〔photo〕gettyimages


文/駒形哲哉(慶應義塾大学教授)

顧客ニーズに応えるメディア報道

4月30日の日中外相会談で、中国の王毅外相は日中関係改善のために「中国脅威論」や「中国経済衰退論」をこれ以上まき散らすなと要求した。

中国ではメディアの性格は「企業の広報」に近い。何をどのように報ずるかは会社(=共産党・政府)の方針に従うという発想を持っているのだろうが、もし脅威論・衰退論が目に付くのであれば、それはむしろ日本のメディアの多くが私的経営であり日本国内の市場ニーズを意識せざるをえないからだ。

日本人の中国に関する情報源は主に日本のメディアであり、日本のメディア情報によって対中イメージが形成されている。メディアは世論形成に影響を与える一方で、顧客が何を求めているかを考慮して情報を発信しており、顧客は自分のニーズに即した報道で、自分の期待を確認するという構図になっていると筆者は考える。

日本人が期待する中国像

日本人の中国経済に対する見方はアンビバレントなものがある。中国を生産基地や市場として活用しながら、心のどこかで中国経済がうまくいってほしくないと願っているように感じられる。だから、中国経済が危機に瀕しているという発信に、つい引き寄せられる。

だが、筆者が現地で得る知見や現地をよく知る方との意見交換から感じるのは、中国に対する見方に、日本国内と中国現地との間で温度差があるということである。

中国の成長段階は、日本でいえばちょうど70年代前後の高度成長終焉期に来ており、リーマンショック対応の4兆元の景気対策の反動が加わって成長率の低下が続いている。これが内外の資源・資本財・生産財需要の縮小、停滞として表れ、世界経済に多大なインパクトを及ぼしていることは事実である。

ただ、紙媒体の新聞でいえば一面から国際面あたりまでの記事の書き方には、時に気になることもある。