出張費は削減するが、「都市外交」の成果にも目を向けて欲しい!
日本経済復活に向けて
新しいロンドン市長サディク・カーン氏〔PHOTO〕gettyimages

友好都市の先進事例から学ぶこと

海外出張経費については、批判の声に謙虚に耳を傾け、目下、無駄の削減について検討中であるが、一方で、テロ対策をはじめ多くの分野で成果が上がっていることもまた記しておきたい。

昨年、ロンドンのボリス・ジョンソン市長と東京都知事の私は、両都市の友好都市協定を締結したが、それ以来、協力関係のさらなる強化を図っている。この10日には、2012年にロンドンで開かれたオリンピック・パラリンピック大会の警備を担当した元ロンドン警視庁の副総監を都庁にお迎えし、テロ対策についてアドバイスを頂く。

スコットランドヤードとの会談の後、警視庁のテロ訓練の現場を視察し、日々精励している警察官を激励する予定である。とくに、羽田の東京国際空港ターミナルにおいては、様々なケースを想定した訓練を行いたいと考えている。

26,27日には主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)が開かれるが、東京でも厳戒態勢を敷く。2005年にイギリスのスコットランドで開かれたグレンイーグルズサミットの最中の7月7日、ロンドンで公共交通機関を標的にした同時爆破テロ事件が発生している。サミット開催国の首都である東京もまたテロと無縁ではない。ロンドンの経験に学ぶことは多い。

ロンドンでは、ジョンソン市長が、兼任している国会議員職に専念するため任期満了で市長を退任したのを受け、5日に市長選挙が行われた。その結果、最大野党である労働党の下院議員、サディク・カーン氏(45歳)が、与党保守党下院議員のザック・ゴールドスミス氏(41歳)を破って当選した。欧米主要都市で初のイスラム教徒の市長である。

イスラム国などによるテロが頻発し、反イスラム感情が高まる中での、今回のカーン氏の勝利は、イギリスの民主主義の成熟度を示す証左でもある。最近、ロンドンでは住宅価格の高騰が続いており、若い世代がマイホームを持つのは不可能な状況である。この問題などを争点化したこともカーン氏がロンドン市民の支持を受けた理由である。

〔PHOTO〕gettyimages

その住宅価格の高騰は、とくに海外からの投資によるところが大きい。東京の研究機関によるランキングで世界一の座を占めるだけに、ロンドンは魅力にあふれており、その不動産は格好の投資対象となっている。二位のニューヨーク、三位のパリもまた同様な状況であるが、東京はまだその段階に達していない。だから四位の座に甘んじているのである。

これらの都市を訪ね、市長と会談を重ね、活気ある都市作りを視察することは、東京にとっても大いに参考になる。先月訪問したアメリカでは、ニューヨーク、ワシントンDCで、公的住宅のあり方について議論することができた。住宅こそは都市の活気の源であり、今後とも友好都市の先進事例から学びたいと思っている。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら