企業・経営
東芝は「存続の危機」に終止符を打てるか? いま原発事業で成長戦略を描くって…
綱渡りが丸見えの「決算見通し修正」
〔photo〕gettyimages

大型連休の最中、東芝は、不祥事に伴う存続の危機にピリオドを打ち、経営を立て直そうと二つの幕引き策を繰り出した。

4月26日に公表した2016年3月期決算見通しの修正と、5月6日発表の綱川智副社長の社長昇格人事の二つである。この中には、虎の子「東芝メディカルシステムズ」の売却収入を利用して、債務超過を招きかねない火種だった米原発子会社ウェスチングハウス(WH)の「のれん代」の一部を償却する決算処理方針をようやく盛り込んだ。

昨年、経営破綻の危機を脱却するため、急きょ起用された室町正志社長や小林喜光指名委員長(社外取締役、三菱ケミカルホールディングス会長)らの奮闘と苦心の跡が伺える打開策である。従来の東芝の対応からは考えられない思い切った対応だ。

しかし、これで安心というわけにはいかない。東芝単体の決算は欠損が生じる見通しで株主にそっぽをむかれかねない資本対策が急務だし、売却が叶わなかった“出がらし事業”を寄せ集めても東芝が掲げる高成長を実現することは困難だからだ。しかも、肝心のWHの減損処理が中途半端とあって、将来に禍根を残しかねない。

東芝が変わり始めた?

まず、連休の谷間の5月6日、新社長を電撃的に発表した緊急記者会見を紹介しよう。室町社長に代わって経緯を説明した小林委員長はまず、

「指名委員会は独立社外取締役5名で構成されており、昨年9月以来、11回開催。うち8回で社長候補者の議論をした。これと別に、内外の候補者10名程度の面談も実施、検討を続けてきた」

と、早くから新社長選びに取り組んでいたことを明らかにした。言外に、粉飾決算の露呈によって、歴代の2社長と共に退任した田中久雄前社長の後を受けて、会長から社長に就いた室町社長を混乱収拾のためのワンポイント・リリーフと考えていたことを示したのだ。

そして、3月18日に「2016年度事業計画(の進捗状況)」、4月26日に2016年3月期決算見通しの修正を公表したことを受けて、「事業構造改革に一定のメドが付いので、新体制に移行することが適当と判断した」と説明。

そのうえで、「経営企画担当の執行役として事業構造改革に一定のメドをつけた実行力、3月に発表した事業計画をとりまとめた構想力などを評価して、綱川智氏(代表執行役副社長)を社長とする案が最適である」と、選任理由を述べた。

東芝新社長の綱川智氏

あえて、小林委員長がこうした説明をしたのは、「指名委員会などを設置して形を整えただけ。魂が入っておらず、コーポレート・ガバナンスがまったく機能していない」という強い批判を念頭に、東芝が変わり始めたことを印象付ける狙いがあったのだろう。

不祥事や危機に直面した企業は、トップに外部の人材を招く例が少なくない。だが、外部登用者は当該企業の実態を把握するのに長い時間を必要として、その間に無用な混乱を招くことも珍しくない。しがらみに捉われない適任者さえいれば、内部昇格の方がそうしたリスクが小さいのは事実だ。

しかも、綱川氏は、グループの虎の子「東芝メディカルシステムズ」を育て上げ、同社の社長を勤めた経歴の持ち主だ。小林指名委員会が白羽の矢を立てたのも頷ける。

このほか、現在空席の会長に、綱川氏と同期(1979年4月)入社で、原子力部門などの経験が長い志賀重範副社長を、室町社長を特別顧問に充てる人事案も発表された。社長、会長人事は、6月の株主総会後の取締役会で承認を得て実施される予定だ。

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