改憲問題「個人の権利」がアブない!~自民党草案に「公共の福祉」を激変させる一言があった
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沖縄基地移設問題での詭弁

最近、日本国憲法第一三条が気になっている。「すべて国民は、個人として尊重される」で始まる有名な条文。戦後世代が読めば、何を当たり前のことをわざわざ憲法に、と思うだろう。かつての私もそうだった。すべて国民は個人として尊重されなかった歴史が、そう遠くない場所にあったことを知るまでは。

翁長雄志著『戦う民意』は沖縄の基地問題をテーマに、国家に対する個(県民)の尊厳はどうあるべきかを深く考えさせられる1冊だ。自民党出身の翁長氏が、保守も革新もないオール沖縄を掲げて知事に就任した経緯は記憶に新しい。

国土面積の0.6%に過ぎぬ沖縄には、73.8%の基地が集中する。政府は普天間基地の移設等により「沖縄の負担を軽減する」との一点張りだ。確かに今後、5つの基地の返還が予定されている。

ところが全ての基地の返還が実現しても、その面積は0.7%しか減らない、つまりほとんど変わらない。

老朽化した基地が沖縄県内に新設され、より長期に固定化される構図を「負担軽減」とすり替えるのは政府の「ウソ」と知事は憤る。

「日米安保体制の名のもとに、自由、人権、平等という価値を守る民主主義国家にあるまじき現実が沖縄で繰り広げられて」いる現在。お国のために犠牲は甘受せよとのごとき政府の主張は、本質的に戦時中のそれと変わりないように見える。

選挙によって沖縄の意志が明確に示されて以降も、政府の姿勢は全く変わらない。同じ構図は福島にも見えると知事は言う。万という単位の国民が故郷を追われ、定住する場も持てず、原発事故の原因はいまだ定かでない。なのに国益の一点で原発は再稼働。

「民主主義の蹂躙に対してもの申す人が、現在の政府、与党にはいなくなってしまいました。だからこそ、全国の都道府県でも沖縄と同じような状況が起こっても何も不思議はありません」という指摘は重い。