国際・外交
安倍首相「欧州歴訪」の結末
〜なぜメルケル首相を説得できなかったのか?

日本はやるべきことをやっていない
〔photo〕gettyimages

メルケル首相が求める「3つの包括的対応」

安倍晋三首相は5月7日夕、欧州歴訪を終えて帰国する。イタリア、フランス、ベルギー、ドイツ、英国、ロシア6カ国訪問の最大の焦点は、5月4日のメルケル独首相とのトップ会談であった。

伊勢志摩G7サミット(5月26~27日)議長として安倍首相が最も傾注したのは、財政規律を重視し財政出動に慎重なメルケル首相を説得することだった。

何故ならば、安倍首相はサミット最終日のG7共同声明に、現在の厳しい世界経済情勢打開のため財政出動を含めたあらゆる手立てを講じることでG7首脳が一致したと、盛り込みたいからだ。

だからこそ、安倍首相はレンツィ伊首相、オランド仏大統領、ユンケルEU(欧州連合)委員長との会談で世界経済を下支えするためG7が機動的な財政出動の必要性で一致したという「成果」を背負って、ドイツの首都ベルリン郊外のメーゼベルグ城に乗り込みメルケル首相との会談に臨んだ。

だが、メルケル首相から「賛同する」という回答を引き出すことができなかった。それどころか、中央銀行の金融政策、政府の機動的な財政出動と構造改革の3つの包括的対応の必要性を説かれたのである。

メルケル首相は次のように語った。

「私たちは経済・金融危機から学んだことがある。だから私たちはEU経済域内で一貫した、協調した形で次なるステップに向かうべきだ。私としては構造改革の必要性と、そしてもちろんECB(欧州中央銀行)の金融政策に影響を受けるわけで、日銀とECBの協力(問題)もあると思う。それから財政出動の問題がある。従って、この3つ(の包括的対応)が必要である」