雑誌
発表! ニッポンの「ウラ大金持ち」100人 これが2016年版「高額納税者」番付だ
ぜんぶ実名! 収入から金銭哲学まで
〔PHOTO〕gettyimages

富は資本家にどんどん集まり、庶民はより貧しくなる。トマ・ピケティが『21世紀の資本』で明らかにしたのは、行き過ぎた格差社会の現実だった。

だが、私たちは富裕層の実像をよく知らない。彼らは果たして批判されるだけの存在なのか。

有名じゃないけど大金持ち

かつては「ペッパーランチ」で日本中を席巻し、最近では「いきなり!ステーキ」が絶好調のペッパーフードサービス社長の一瀬邦夫氏は、世間から成功者と見られてもおかしくない実業家だが、あくまでも謙虚だ。

「私は成功者じゃありませんよ。成功という言葉は好きだけど、自分自身には当てはまらない。まだまだだと思います。

そんな私も、若い頃は勘違いをしていたこともありました。27歳でコックとして独立し、9年で大きなビルを建てた。周囲からおだてられ、私自身もこれで将来は何とかなったと思いました。日銭が入ってきて、月100万円くらいは自由になったので、ゴルフや『男の遊び』もしました。

ところが、そんな中でも、従業員の離職が多かったんです。たとえ社長が幸せでも、従業員が幸せじゃなければ、当たり前の話ですが、彼らは辞めていく。私はそのことに気づいたんです」

一瀬氏は考えを改め、多店舗の経営に切り替えた。3店、4店と増やし、従業員の裁量を大きくした。すると——、

「従業員を大事にしすぎたんですね。彼らに辞められると店が回らなくなるから、物を言えなくなった。経営者が不在になって、会社は倒産寸前までいきました。

そこからまた考えて、従業員の幸せを大事にしつつも、リーダーシップを発揮するようになりました。50歳くらいの時の話です。

人間にとって、自分が幸せになることは大事。従業員もそうです。自分の幸せが何に由来するものなのか。他人に幸せを与えることに由来するというのが、原理原則です。相手の幸せを考えること。これが自分の幸せの元になるのです」

そんな一瀬氏の生活は、いたって質素だ。

「株式を上場すると、どのくらいのおカネが入ってくるか知っていますか? ゼロを数えきれないほどの金額が入ってくるんですよ。でも、僕はフェラーリもベンツも買わなかった。腕時計は買いましたがね。それも80万円程度。今も修理して使っています。

たしかに自社の株は持っていますが、これは自分のものであっても、会社のもの。株があるから、社長をやっていられるんだし、信頼も得ている。換金はできませんよ」