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軽自動車「販売急減」の真相
〜あの一大ブームはすでに終焉を迎えたのか?

ハスラーvsキャストが話題になったが、昨年の軽自動車販売は大きく下降。その前の乱売の影響もある

2014年に約227万台を販売し、我が世の春を謳歌した軽自動車だったが、昨年は約190万台と急転直下の大下降。軽自動車税の増税はあったものの、それだけが理由とも思えない。ブームとも言われた軽自動車に今何が起きているのか、多角的に検証する。

軽自動車ブームの終焉を感じさせるような数字が並んでいる。

昨年1月以降今年の1月まで、単月での軽自動車販売台数はずっと前年同期を割っており、昨年12月は36・1%減というすごさ。今年1月は13・0%減に持ち直したが、おわかりのとおり、それも本当は「持ち直した」などというレベルではない。

ほんの数年前まで「国産新車の半分以上が軽自動車になる」とも言われたものだが、あっと驚くこの急展開。いったい軽自動車に何が起きているのか!?

軽自動車の販売が急減している理由のひとつは、やはり昨年4月に行われた軽自動車税の増税。年間7200円から1万800円に増税されてしまった。

この増税は軽自動車の快進撃に冷や水を浴びせるものと事前にいわれていたが、販売データを見るかぎり、冷や水どころか氷水だったというくらいのインパクト。全国軽自動車協会連合会もその影響は確実にあったという。

「販売データを見るかぎり、増税の影響は大きかったといわざるを得ないですね。税金が上がって売りにくくなったこともありますが、それ以上に駆け込み需要が想定外に多かったということです」(全軽自協)

軽自動車税増税1年前の'14年4月には消費税アップもあった(5%→8%)。つまり、異常な駆け込み需要が2年続いたということで、これは当然市場が混乱する。

「軽自動車がたくさん売れていた頃は新車効果やクルマの魅力で売れていると思っていたのですが、実はそれも駆け込み需要だったのかもしれません。消費増税と軽自動車増税が2年続き、需要が一気に増えた反動が今出ているのだと思います」(同)

販売データを振り返ってみると、消費税が8%に上がる直前の'14年1月が前年比32・1%増、2月が23・8%増、3月が22・4%増という勢いで、この3カ月で73万4996台を販売。消費税アップ後の減少はあったものの、結局'14年は1~12月で227万2790台と、過去最高の数字を出した。

軽自動車人気が頂点に達した瞬間だったが、上がりきれば待っているのは下り坂。やはり限界があったということだろうか。

いっぽう、軽自動車税の増税は関係ないという意見もある。都内スズキ自販店長はこういう。

「軽自動車税が上がったといっても年間3600円、月に300円のこと。増税がニュースになることで購買意欲が削がれたお客さんはいるかもしれませんが、軽自動車の1万800円は登録車で一番安い2万9500円(排気量1リットル以下)に比べるとまだまだ割安感はありますから、販売減の直接的な要因ではないと思います。それよりもうちでいうと、2年前の異常なハスラー人気で増えた台数が通常の状況に戻っただけだと思いますよ」

また、都内ホンダカーズ店長も同様の意見だ。

「増税の影響はほとんど感じていません。軽自動車も最近は総額で200万円くらいしますから、そういうクルマを買ってくださるお客さんは年間3600円のアップは気にされないでしょう。N-WGNやN-ONEなど、新鮮味が薄れている車種が苦戦しているだけで、魅力的なクルマが出てくれば、自然と販売は回復すると思います。それよりもフィットの苦戦のほうがダメージは大きいですよ(笑)」

他社の販売店に取材しても同様のコメントが続く。それが本音かどうかは不明だが、販売サイドは増税はもちろん、販売台数の急減速も意外と気にしていないという印象なのだ。

自社登録が減っているという情報も

いっぽうで、ある方面からは、最近の販売減少は「実需の減少とともに、自社登録が減っているからではないか」という声も挙がっている。昨年末から急激に減っているのだという。

自社登録とは販売店が台数を稼ぐため、文字どおり自社で新車を買い、登録すること。そういうクルマはオークションを通じて中古車店へ流れ、「未使用車」として消費者に渡ることになる。もちろん、それだけでは販売店は損をするが、ノルマを達成することで得られるメーカーからの報奨金で利益を出す仕組みだ。

軽自動車の自社登録は毎年かなりの数にのぼっている。正確な数字は公表されていないが、軽自動車すべての中古車のうち、未使用車は約1割を占めるとされている。専門の店舗も数多く、全国の幹線道路沿いに未使用車専門をうたう中古車店が立ち並ぶ光景を見た人も多いだろう。

しかし、自社登録はメーカーの利益を圧迫する。各社が台数を競い合うための我慢比べみたいなもので、どこかで歯止めをかけたいという意識は強いのだ。

では、自社登録が減っているというのは事実なのか。複数の大手未使用車専門店によると「オークションに出品される未使用車の数に変化は感じられない。軽自動車税の増税前後でも変化はなかった」とのこと。

しかし、ここで注意したいのは、販売店が自社登録をしてからオークションに流れるまで、通常3~4カ月のタイムラグがあるということだ。あまりに早く中古車市場に出すと新車の販売に影響が出やすくなる。つまり、2月中旬に取材した前述大手専門店のコメントは、このタイムラグが反映されていないということ。はっきりとしたデータはないが、自社登録の減少も大幅な前年比割れの一因なのかもしれない。

ほかに理由はないだろうか。例えば軽自動車そのものの魅力が薄まってきたという可能性はどうだろう。

この件に関し、自動車評論家の渡辺陽一郎氏はこう分析する。

「各社の販売の中心となるクルマでモデルの古いのが増えてきていますね。デビュー時期からの年数を見ると、N-BOXは4年以上、N-ONEは3年4カ月、ワゴンRは3年半、スペーシアも3年など、モデル末期にさしかかっているクルマが目立ちます。

新車効果がないというのはやはり厳しいと思いますが、それと同時に新型車にも新しい提案が少ない。軽自動車の主力モデルは何年も前から同じようなクルマばかりで、モデルチェンジしても新鮮味がなく、また、今のクルマは大きな故障もしないから、だったら買い替えなくてもいいかということになりますよね。そういうユーザーの意識の変化も大きいと思いますね」

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