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天才中学生を狙え!
激化する甲子園常連校「スーパー青田買い」の実態

彼らの未来は14歳で決まる
〔PHOTO〕gettyimages

ランドセルをおろし、中学の鞄の生活に馴染んだ頃、天才少年たちは早くも決断のときを迎える。どの高校で野球を続けるのか。高校の監督、中学の指導者、親の間で繰り広げられるドラマを追う。

どうやって原石を見つけるか

88回目を数えた今春の選抜高校野球は、奈良の強豪・智弁学園が初めて頂点に立った。智弁は先発した9人中、7人が中学で硬式野球を経験し、敗れた高松商業はわずか3人。胴上げの光景をテレビで見ていた、ある高校の監督は天を仰いだ。

「選手を鍛えなければ強くならないのは今も昔も変わらない。でも、今は前提として、本当に素材のいい子を集めないと勝てない。昼までに授業を終わらせ、午後から練習をみっちりやればなんとか強いチームができる、という旧態依然の考え方では、もう選手に来てもらえない」

ダイヤモンドの原石を高校で磨き、光れば、大学やプロ野球への道が開ける。それはひと昔前の話だ。今や中学段階でその後の人生が決まってしまうと言っても過言ではない。

なぜそんな「スーパー青田買い」状態になってしまったのか。中学生を指導するシニアの関係者が明かす。

「2007年の春に発覚した高校野球における特待生制度の問題です。授業料免除などの特典を与えられた高校生の存在が表面化しました。それは日本学生野球憲章で禁じられる行為なので、関わった人は当初厳罰に処されました。

'09年に入学金、授業料のみ、免除が許される特待生制度が再びはじまりはしましたが、目安は各学年5人以下と大きく制限が加わりました。問題発覚前は多い学校では1学年10人いて、要は30人の中から優秀な9人を選べばよかったので、リクルートは今よりラクだったと思います。

近年は少子化により、子供の数自体が減っているので、優秀な9人を選ぶ『分母』も減っている。だから、名門校ほど、欲しい選手を早く決めようと、動きが活発化しています」