がんになったら、誰もがいきなり直面する難問〜標準治療か代替療法か、それが問題だ
働き盛りのがん闘病記~ほぼ同時ドキュメンタリー(4)
〔photo〕iStock
〔前回までの話〕2015年11月、働き盛りの私の身に、思いもよらぬがん宣告が下された。ステージⅣAの末期がん。何も治療をしなければ「余命は1年」。あわててがんの治療法について必死に勉強したのだが、どの治療法を選択するかは、結局一人一人の人生観によっているという冷徹な事実に直面した……。さて、私はどうするか? ほぼリアルタイムで進行する闘病ドキュメンタリー第4回(第1回はこちら http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47524

文/朱郷慶彦(小説家・脚本家)

代替療法は「眉ツバもの」?

がんの治療法を探すのは、簡単である。Googleに「がん 治療法」などと入力して検索ボタンを押しさえすれば、即座に星の数ほどの治療法が現れる。厳密に言えば、星の数の方がやや多いようではあるが。

問題は、すべての情報が並列的に提示されるために、どの治療法を選んで良いのかが分からないという点である。

私も、最初はわけが分からなかった。しかし、ネットサーフィンを繰り返し、多くの書籍を読み漁るうちに、やや見えてくるものがあった。

がんの治療法は大きく分けて、「標準治療(三大治療)」と「代替療法」の二つに分類されることは、前回までに述べたところである(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48082)。

標準治療とは、手術療法、化学療法(抗がん剤治療)、放射線療法の三つを指し、全国どこの大病院でも標準的に用いられている治療法である。科学的エビデンスに基づいて採用されている治療法であるから、治療実績も多く、保険も適用され、最も合理的な選択でもある。

しかし、合理的ということは、逆に言えば、常識的な結果しか期待できないということでもある。

常識とはすなわち、「末期がんなどで治療効果が認められない場合は、他に打つ手がない」「用いる手法、薬品に応じて、それ相応の副作用や機能障害が起きる」「一度治療に成功しても、再発すれば再度同様の手法によって治療するしかない」といったことである。

そういう常識的な結果では満足できないという人々がいても不思議ではないだろう。

他の多くの病気のように、ケロッと治って、二度と再発しないような治療法はないものだろうか。副作用や機能障害なしに、治療することはできない相談なのか。末期がんで現代医学から見捨てられたら、もう諦めるしかないのか。

そのような人々の求めに応えようとする治療も世の中には数多く存在する。それが代替療法と呼ばれる治療法の数々である。

喩えるならば、アントニオ猪木に敢然と挑む長州力、アニマル浜口、キラー・カーン、谷津嘉章の面々といったところだろう。かなり違うか(しかも、若い人たちにはまったく通じそうもない)。

代替療法はバラエティ豊かだ。医学的アプローチを取ってはいるものの時間およびコストの制約のため科学的エビデンスが得られていないといった治療法から、科学的医学的アプローチそのものを否定しているような治療法まで、実に数多くの治療法が存在している。

それが故に、正規の医学教育によって標準治療を学んできた医師の多くは、代替療法を「民間療法に過ぎない眉唾モノ」と考えているのも事実である。

そこまで極端でない場合でも、まあ大抵は「科学的エビデンスがないものは、やはりお勧めはできませんね」といったところが共通の見解であろう。