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『8時だョ! 全員集合』は日本のお笑いをどう変えたか?

伝説の幕開けといかりや長介の苦悩
週刊現代 プロフィール
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全員が本気だった

松田 仲本工事さんの「長介人形」も好きだったな。いかりやさんそっくりの人形をただ、殴ったり叩いたりする、それだけなんだけど、面白い。仲本さんは小狡く調子の良いキャラクター。メンバーそれぞれにあわせてキチンと世界観を作っているから、爆笑がとれる。

西条 いかりやさんのメガホンに、頭に落ちてくる金ダライ。テレビ越しに見ていても、衣装やセットにものすごいこだわりが感じられました。

田村 それには理由があった。当初、『全員集合』は、クイズや、ミニコーナーがメインのバラエティだったんです。でも、それでは、同時間帯にフジテレビでやっていた『コント55号の世界は笑う』の人気にはとても敵わない。そこで、コントでテコ入れを図ろうとなった。

そうしたら、いかりやさんが、「やるなら、徹底した本物志向で、世界観を作り上げなきゃ」と強く主張したんです。凄い額の予算がかかるんだけど、それをTBSの居作昌果プロデューサーが押し通した。

西条 伝説の名プロデューサーですね。

田村 いつも着流しに雪駄で一見したら「そのスジの人」(笑)。おっかないけど、番組作りの嗅覚は凄かった。彼の方針は、「マンネリ大オッケー」。

「水戸黄門だって、8時45分に印籠出すのをみんな待ってんだ。お客も最初のコント、次の歌、少年少女合唱団ってそれぞれ毎週楽しみに待ってんだから、俺達は期待に応えなきゃ」と。

西条 いかりやさんは、「ドリフは人間関係でコントを作っていた」と仰っていました。トップに君臨する権力者としてのいかりやさんがいて、反対側の弱い立場に加藤さんがいる。残りの3人が、いかりやさんに付いたり、加藤さんと一緒に悪さしたりと、必ず1対4の関係になるんだと。

田村 それは、ドリフがジャズ喫茶で演奏していた時からそうだった。真ん中にいかりやさんがいて、二人ずつ両脇にいる。どちらかがふざけると怒って、そうすると、もう片方がふざけて、とリズムがあった。

松田 それが、志村さんが入って少し変わりますね。たとえばコントの登場シーン。まずいかりやさんがいて、高木さんが遅れて出てきて、仲本さんが小狡いことをやって、加藤さんか志村さんが大オチをとる。高木さんと仲本さんはあまりおいしくないけど、ドリフはグループの笑いだからそうなってしまう。

西条 最初は大オチを加藤さんがやっていたけど、だんだん志村さんがやる機会が多くなって、加トちゃんが好きだった子供としては、ちょっと複雑な思いで見ていました。

田村 加藤さんから志村さんへの役割交代はいかりやさんが考えたもの。

いかりやさんは、付き人出身で、後からメンバーになった志村さんをどうやって活かすか、一生懸命考えていた。

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