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石原慎太郎がいま明かす「私が田中角栄から学んだこと」
人を見て、先を見通す天才だった

今太閤、闇将軍。閉塞する現代日本で田中角栄が空前のブームだ。かつては「政敵」だった石原慎太郎氏も、実は角さんが好きだった。近著『天才』で田中角栄を活き活きと描いた石原氏が語る。

なぜ役人をうまく使えたか

田中角栄は29歳で初当選したとき、地元でこう呼びかけました。

「裏日本といわれている雪国の新潟を表日本にするには三国峠をダイナマイトで吹っ飛ばしてやればいい。そうすれば新潟に雪は降らなくなって、その土を日本海にもっていけば佐渡島を陸続きにできる。そうなったら、逆に東京から人が新潟に出稼ぎに来るようになる」と。

むちゃくちゃだけど、これは、殺し文句だと思うね。

こういう郷土愛の延長に国への愛着があって、角さんは日本をより機能的、文明的に改良しようとした。役人をうまく使ってね。

役人を使うのがうまかったというのは、言い換えれば役人を馬鹿にしていたということですよ。

だって、彼らには発想力というものがない。僕も長いあいだ都知事をやりましたけど、知事というのは一種の「独裁者」的存在でね。これは僕じゃなくて橋下(徹)君が言った言葉だけども、ある意味でそうだと思う。発想力と権限をもった政治家が指揮しないと、役人は動かない。国政も同じことですよ。

そういう意味では角さんは官僚出身の政治家を馬鹿にしていたと思う。福田赳夫もそう。

一般には「角福戦争」と呼ばれて、角さんと福田さんは総理の座を争ったとされているけど、政治家としては角さんのほうが数段上。戦う前からすでに角さんが総理になる方向で勝負はついていたと思いますよ。少なくとも角さんはそう確信していたはずだな。