「20ミリシーベルト」に根拠なんかない いい加減な、あまりにいい加減なこの国の安全基準小佐古内閣参与はなぜ辞表を叩きつけたのか

2011年05月17日(火) 週間現代

週間現代経済の死角

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〔PHOTO〕gettyimages

 ところが、結果的に小佐古氏はほとんど事故対策にかかわることができなかったという。

 参与就任以来、小佐古氏と行動をともにしていた空本代議士は、本誌に分厚い報告書を示した。

「福島第一発電所事故に対する対策について」と題された、A4用紙100枚にも及ぶその冊子。小佐古氏が、原子力災害を避けるため、3月16日の参与就任からおよそ1ヵ月半かけて寝る間も惜しんでまとめた渾身の報告書だ。

 しかし、この小佐古報告書にあるような提言を、官邸はことごとくないがしろにしてきた。

 その上、菅首相は、自身がブレーンとして任命したにもかかわらず参与就任の際に顔を合わせた程度で、小佐古氏と原発事故についてまともに意見交換することは一度もなかった。

 小佐古氏も手をこまねいていたわけではない。あらゆる手段で、提言実現のために動いていた。

 プラントに関する提言は細野氏に、放射線被曝に関する提言は福山哲郎官房副長官に上げることになっていた。もともと参与就任にも関与していた細野氏に伝えた意見は採用されることもあったが、福山氏に上げた内容はまるで聞き入れられなかった。

 それでも別ルートで、原子力安全委員会にも助言を続けたが、これもほとんど無視された。最終手段として、面識のあった班目春樹・原子力安全委員会委員長に直訴したが、にべもなかったという。

どんどん基準値が甘くなる

 そうしている間にも、安全基準値の上限は、ご都合主義的にどんどん引き上げられていった。

 現在、福島原発で復旧に当たっている作業員たちの被曝限度は、緊急時において年間100ミリシーベルトと震災前から決められていた。被曝線量が100ミリシーベルトを超えると、線量に応じて、がん発症率が直線的に増えることが、広島と長崎の原爆被爆者の追跡調査から明らかになっている。つまり、線量が2倍になればがん発症率も2倍になる。

 その上限数値を厚労省と経産省は3月15日、40年から50年前の、原爆被害の経験を生かせていない時代の考えに基づく、250ミリシーベルトという数値に急遽引き上げた。

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