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松山英樹&スピース 2016マスターズ「魔の刻」に何が起きたか
2人の若武者を襲った悲劇の真相
〔PHOTO〕gettyimages

大会後スピースは、最終日の「トラブル」について「非常に厳しい30分間だった。一生つきまとう、忘れられないトーナメントになった」と漏らした。世界一を争う男たちを襲った「悲劇」の真相とは。

攻めるか、守るか

マスターズ最終日、最初の「異変」がジョーダン・スピースを襲ったのは、10番ホールのティグラウンド——いわゆる「サンデーバックナイン」のスタート地点でのことだった。

「ティグラウンドに立った時に、ある考えが頭をよぎってしまったんだ。最後の9ホールは、パープレーでグッドイナフ(十分)だ、と。思い返せば、そのアイデアが間違いの始まりだった」

マスターズ連覇という偉業がかかっているスピースのスコアは、この時7アンダー。2位以下に5打差をつけていた。

「このまま行けば、勝てる—

スピースは、3番ウッドを握りしめてティショットに向かう。

「前半は少しでもスコアを伸ばそうと攻める気持ちでゴルフができていた。でも、10番では考えが曖昧なまま打ってしまった。アグレッシブになりきれず、身体が動かなかった」(スピース)

「らしくない」スイングから放たれた打球は、右へ。スピースの顔から生気が失われていく。

グリーンが右から左へ傾斜する10番ホール。ピンは左。林の中からとなった2打目は、6番アイアンを選択する。

「奥にこぼしたくなかった。攻めきれなかった」

スピースのボールは、グリーン右手前のガードバンカーへ吸い込まれた。乗らず寄らずで、このホールをボギーとしてしまう。

混乱したまま、スピースは「アーメンコーナー」へと入っていく。「アーメンコーナー」とは、11番から13番までの3ホールの通称。マスターズ開催コースのオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブでも、「上手く切り抜けるには、神に祈るしかない」と言われたことが名前の由来とされる、コース最難関の3ホールだ。