国際・外交
大モメTPP!日本はアメリカに欺かれたのか?
やっぱり「聖域」なんてなかった
【PHOTO】gettyimages

石原伸晃が右往左往

TPP(環太平洋パートナーシップ協定)を承認する法案を審議している衆議院のTPP特別委員会の質疑で、TPPの実態が「聖域なき関税撤廃」であることが改めて浮き彫りになった。

民主党の玉木雄一郎議員が4月19日の委員会質疑で、コメや牛肉などいわゆる重要5品目に含まれる594の関税について、「従前通りの無傷で残ったものがいくつあるか」と質問。これに対して、「ゼロ」という答えが政府から返ってきたのだ。

特別委員会での玉木議員の質問には当初、石原伸晃・TPP担当相も森山裕農水相も答えられなかった。おそらく知らなかったからではなく、答えてよいものかとっさに判断が付かなかったのだろう。西川公也委員長から「基本的な事ですからきちんと答えてください」と答弁を促されたが、それでも答えられず、午前中の委員会審議は止まってしまった。その後、午後に再開された委員会で、森山農水相が「ゼロ」と答弁したのである。

もともとTPPは例外なき関税撤廃を目指す貿易交渉の枠組みだ。各国間の交渉が本格化したのは民主党政権時代だったが、TPP参加は日本の農業などに大打撃を与えるとして当初は参加を見送っていた。

自民党もTPPには反対の立場だったが、2012年末に政権を奪還した安倍晋三首相は、「聖域なき関税撤廃を前提とする限り反対」というスタンスを取った。もともと安倍首相自身はTPP交渉には参加すべきという意見を持っていたとされるが、自民党議員の多数がTPP反対を掲げる中、苦慮したうえでの表現だった。

というのも、この表現ならば、聖域なき関税撤廃が前提でないならば、交渉に参加できる、という読み方もできる。心中にはTPP交渉に参加することを秘めながら、いわば「方便」として打ち出した表現だったわけだ。

実際安倍氏は首相に就任すると、日米関係の改善に取り組み、就任後わずか三カ月でTPP交渉参加に舵を切った。その際に言い訳として使ったのが、バラク・オバマ大統領との間で、「聖域なき関税撤廃は前提ではない」という合意ができた、というものだった。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら