地震・原発・災害
坂口恭平の熊本脱出記(3)だから僕は、熊本から逃げ出した
余震は体に良くありません!
2016年4月17日12:23のツイート

東京から熊本に戻った日の夜に、「マンションを怪獣が揺さぶっているような」余震が起きた。駐車場で日の出を待ち、家族で避難所に行った坂口恭平(新政府総理大臣)だったが、そこでなんと鬱になってしまった。(前回はこちらgendai.ismedia.jp/articles/-/48481

そして、ついに熊本脱出を決断する。瞠目のリアルタイム・ドキュメンタリー第3回。

TEXT 坂口恭平

3歳のゲンが教えてくれた

起き上がった僕はなぜかすっかり鬱が抜けていた。ただ疲れていただけだったのだろうか。ちゃんと炊き出しにも並んだし、給水にも並んだ。

しかし、どうも違和感が拭えない。僕がここで生活をしていくのは無理があった。気がきかない人間は不要だと思った。しかも、息苦しかった。どこか空気のきれいなところへ行きたかった。

家の中はもうむちゃくちゃで掃除する気にもなれない。だからどこかすっきりと清々しいところへ行きたかった。ゲン(息子・3歳)もそうだったのだろう。水がなくなるかもしれないと不安をみなが感じているので、給水に並ぼうとすると、ゲンが泣き叫んで、一緒についてくるという。ゲンがいると並ぶのも大変だ。

しかし、同時に、なぜ僕はそんなことを考えているのだろうかと自問自答した。ゲンみたいに自由にやればいいのに。

なぜ僕は被災者みたいな顔で給水に並んでいるのだろうか。湧き水が出ているところを探して好きなだけ飲めばいいのに、なぜ自分が暮らしている町に執着しているのだろうか。

眠りから覚めた僕は、さっきまでの怪獣と戦っていた自分に戻っていた。水の袋を両手にもちながら、家族が待つ体育館へ戻ろうとしたが、ゲンはそれを許さない。もっと遊びたいという。遊具と戯れたいという。こんな地震のときなのに。

そこで僕はフーに電話をして、手伝ってくれと伝えた。フーにゲンを渡すと、僕は水を体育館の僕たちのスペースに運び、またゲンのところに戻った。

昨日、福岡から送ってくれたヒロミが、明日また熊本に来てくれるらしい。僕はそれでまずは福岡へ行くことを勝手に心の中で決めた。

それはゲンが言っているようなものだ。もっと遊びたい。気にしないで遊びたい。どこかへ行きたい。外に出たい。外に出られないようなところにはいたくない。

とにかく逃げなければいけない。子供に我慢を強いてはいけない。子供は僕に逃げろと言っていた。もっと楽にいられるところで、あそんでくれと言っていた。