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本当にあったウソのような「非常識な判決」10選

世間知らずエリートが頭だけで考えると…
週刊現代 プロフィール

井戸端会議が名誉毀損

(6)井戸端会議で悪口を言っていたら名誉毀損で一人20万円の罰金

ある主婦が、近所の主婦たちから口さがない噂話をされた。「警察から窃盗犯人として疑われている」「腹黒い、手癖が悪い」などの陰口をたたかれ、精神的苦痛を受けたため、1人あたり100万円の慰謝料を請求した。

〈被告らの言動は、主婦内の単なるお茶のみ話の域を超える悪質な言動であるから、一人20万円の慰謝料を支払え〉(1984年、仙台地裁)

「刑法上の名誉毀損が成立するには、『公然と』名誉毀損していることが条件。『公然と』は不特定多数の人が知りうる状態のことです。井戸端会議は、少人数の間で行われるものなので、刑法上も民事上も、名誉毀損が成立することは考えづらいのです。まあ、この場合は中傷された主婦が、仕事をやめ、引っ越しせざるを得なくなったりという事情も考慮されたのかもしれません」(間川氏)

(7)堂々とスカートの中を覗き込んだら無罪

被告人の男は人通りの多い駅の通路で、17歳の女子高生の後ろから四つん這いになった状態でスカートを覗き込んだ。

〈四つん這いになって被害者のスカートをのぞくという、常識的な判断を欠いた突発的、衝動的な行為をしており、心神喪失状態にあったため、無罪である〉(2014年8月19日、さいたま地裁)

「判決文を読む限り、この被告人は中等度の精神遅滞や統合失調症などの症状があった。責任能力がない、と判断されたのでしょうが、被告人に精神上の問題があったとしても、本当に責任能力がなかった、と判断できるかどうかは、疑問が残ります。

というのは、この被告人はスカートを覗いて通行人に取り押さえられた直後に、『すいません、すいません、もうしません』と言っているからです」(間川氏)

(8)凶悪犯罪をおかしても覚せい剤を使用していれば無罪

この判決も、被告に責任能力があるか、ないかが焦点になったケースだ。

日本に不法に残留していた外国人の被告人が覚せい剤を使用し、運転していた車で次々と事故をおこし、さらに乗っていた車から降りて別の自動車の運転手をナイフで脅し、手当たり次第に自動車を奪い取った。

〈不法残留と覚せい剤を所持して使ったことは認め有罪とするが、それ以外はすべて無罪。よって懲役2年執行猶予4年とする〉(2008年、岐阜地裁)

「この判決が許せないと思うのは、被告人が犯行前に覚せい剤を使用して訳のわからない状態になっていたため、罪を引き受ける責任能力がないから無罪になった点。覚せい剤の使用で罪が軽くなるのは大きな違和感を覚えます」(間川氏)

(9)胴上げに参加したら10万円の罰金

被告人は、上司の定年退職送別会で上司を胴上げし、誤って落下させてしまい、上司が死亡してしまった。

〈胴上げに失敗した被告人は有罪。罰金10万円の刑とする〉(2010年5月20日、大津簡裁)

「遺族の立場からすれば、故人は、これから第二の人生を楽しもうとする矢先の事故でとても納得できる内容ではなかったでしょう。ただ、逆の立場からすれば、善意で胴上げに参加したのに罰金10万円を支払う可能性がある、というやるせなさが残ります」(間川氏)