野球の守備の「定位置」はナント思い込みだった!? ビッグデータが明かした真実
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ビックデータが野球界にも浸透した

いよいよ球春到来、日米両国でペナントレースが始まった。いま、メジャーリーグで進行している「革命」を書いたのが『ビッグデータ・ベースボール』だ。

2013年のシーズン、'92年以来勝ち越しがなかったピッツバーグ・パイレーツが94勝をあげ、ポストシーズンに駒を進めた。その背景には、いったい何があったのか?

実は膨大なデータを分析した結果、打球の方向と守備位置がマッチしていないことをスタッフが発見した。ならば、相手打者の傾向に合わせて守備シフトを変更すれば、もっと簡単にアウトを取れるのではないか?

クビ寸前だったジェネラルマネージャーはそう考えた。しかし、実際に現場の指揮を執るのは監督だ。話し合いの結果、「瀬戸際の男たち」は導入を決断する。しかし監督はコーチ、選手たちにこの発想を浸透させなければならない。「ヒューマン・スキル」が問題になった。

しかも、野球経験のないデータの「分析官」をクラブハウスに招き入れ、積極的に議論することを奨励した。当初は懐疑的だった選手たちも、この提案を受け入れ、驚くべき成果を上げる。つまり、「定位置」は野球界の思い込みにしか過ぎなかったのだ。

私が巻末の解説を書いているので、この欄で取り上げるのを躊躇ったが、メジャーリーグの現在をこれほど活写している本を私は知らない。

ブラッド・ピット主演で話題になった『マネー・ボール』が出版されたのは'03年のことだが、10年以上の時を経て、メジャーリーグはビッグデータをどう戦略に生かすか、球団の情報をどう読み取るか、その腕が問われる時代になった。

現場だけでなく、数学科やコンピュータサイエンスを学んだ分析官が野球界に浸透してきたのだ。保守的なチームは遅れを取ってしまいかねない。発想を転換したチームは数年分のアドバンテージを得ることになる。