パナマ文書、なぜ日本の大手マスコミは「日本関連を除いて」報道するのか
「報道の自由」がアブナイ!
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中国・ロシアとよく似た日本の対応

ICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)が公表したパナマの法律事務所の膨大な内部文書、いわゆる「パナマ文書」が大騒動を巻き起こしている。

合法的な節税だけでなく、脱税やマネーロンダリングなどを行うために、租税回避地(法人税や所得税がゼロかそれに近い国や地域)のペーパーカンパニーを使うのは珍しくない。

しかし、今回は、英国キャメロン首相、中国習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領ら超大物の関係者の名前が並び、しかも、「アイスランドの首相辞任」「英国キャメロン首相窮地」などと世界に激震が走っている。

租税回避地のペーパーカンパニーは、資産の真の所有者を隠すためのものだから真相はわかりにくい。これを暴くのがマスコミの責務だ。ICIJには朝日新聞と共同通信の記者が協力しているが、今のところ日本の個人や企業名について、詳細な報道をする大手メディアはない。

最近、安倍政権に批判的な新聞社の記者から聞いた話だが、政府や大企業に都合の悪い記事の場合、単に取材してメモを取るだけでは記事にならない。上司に取材源の話の録音を要求されたり、ひどいときには録画して来いと言われ、結局ボツになることもあるという。

もちろん「裏取り」は報道の基本だが、デスクや編集幹部がリスク回避のために、「裏取り不足」という口実で政府・大企業批判の記事をボツにしているのだ。「リストに名前があっても違法行為があるということではない」と断りつつ、政治家や著名人の名前を報道するICIJや各国の報道機関とは正反対だ。

政府の姿勢も同様。この事件に対する民主的な国の対応は共通している。オバマ米大統領、オランド仏大統領、キャメロン英首相など世界中のトップが、本件を機に関係当局の捜査着手や租税回避対策推進を発表している。

一方、中国、ロシアの政府は、報道規制や「西側諸国の陰謀」説などで火消しに走る。日本政府も中ロと同じで、菅官房長官は「調査するつもりはない」と早々に宣言した。安倍政権に服従する日本のマスコミに、「余計な調査はするな」というメッセージを伝えたのだろう。