「日本は核保有に向かっている」という中国のネガキャンを放置してはいけない
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日本が置かれている環境は甘くない

オバマ米大統領が2009年4月に「核兵器のない世界の実現を」と訴えたプラハ演説での提案を機に、2010年4月に始まった核セキュリティサミット。今春、その第4回目(3月31日から4月1日)が開催された。オバマ大統領にとっては、任期期間中の最終回を迎えたこの会議、地球規模の政治活動としてはそれなりの成果を挙げたと言えよう。

ロシアは参加しなかったが、55ヵ国及び3国際機関から約40名の首脳級が参加し、ベルギー・ティアンジュ原子力発電所が狙われたとされる先のベルギーテロ事件を踏まえ、国際テロ組織による核テロの脅威に世界全体で取り組むべきとの認識は共有された。

各国が連携して具体的措置を講じる必要性を再確認した上で、今後はその活動をIAEA(国際原子力機関)に引き継ぎ、今年12月にウィーンで開かれる核セキュリティ国際会議などで展開することとなった。

振り返ってみれば、核兵器転用物質を保有する国は、1992年には52ヵ国だったが、2010年には35ヵ国、現在は24ヵ国にまで減ってきている。核兵器原料の世界総量は500トン程度でほぼ横這いだが、12ヵ国以上の国がその貯蔵量を減らしている。

しかも、核物質防護条約の改正については、発効要件である現締約国の3分の2(102ヵ国)で締結がなされ、今後数ヵ月以内に発効する見通しだ。これによる、核セキュリティ強化に向けた世界の取組みが更に進むことになる。

今回の核セキュリティサミットには、日本からは安倍首相が参加した。2011年3月の東日本大震災による福島第一原子力発電所事故の経験を踏まえた国際協力や、利用目的のないプルトニウムを持たないという原則を再度言及した。

更に、茨城県東海村にある高速炉臨海実験装置(FCA)での核燃料全量撤去完了や、大阪府熊取町にある京都大原子炉実験所の学生訓練用の原子炉「京大臨界集合体実験装置」(KUCA)での高濃縮ウラン燃料全量撤去決定を表明した。

こうした日本側の意思表示が、4月10~11日のG7外相広島会合や、同11日のケリー米国務長官の原爆死没者慰霊碑(広島市・平和記念公園)での献花に繋がったこと、今年5月26~27日の伊勢志摩サミットや、2020年に予定される東京オリンピック・パラリンピックへの効果を考えても、大きな成果であった。

オバマ大統領が日本について、「500キロを超える高濃縮ウランやプルトニウムの撤去計画を進めており、歴史上最大規模の取組みだ」と高く評価したことが、まさにそれを現している。

だが、今回のように国際的な場でのアピールがうまくいったと思われるからと言って、日本は“楽観論”に陥ることがあってはならない。核不拡散を目指しながらも、各国がそれぞれ自国の利益を追求することに変わりはない。それは、厳しい国際社会の現実だ。日本が置かれている環境は、全然甘くない。

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