ブルーバックス
日本で進化を遂げた「バルサ流」指導法
〜“イヤでも”サッカーが上達する!?

村松尚登『サッカー上達の科学』
〔PHOTO〕gettyimages


「バルサ流」の指導法が日本で進化した!
両足を自在に操り、つねに相手の逆を突く選手になれる!
全世界で最も育成に定評のあるスペインの名門・FCバルセロナでのコーチ経験をもつ日本人が徹底指南。

メッシのドリブル、ネイマールのフェイント、

イニエスタのダブルタッチ、ブスケッツの正確無比なパス。

超一流選手のテクニックに直結する「身体動作」が身につく独自メニューを初公開!

股関節の可動域を広げるリフティング、

重心移動を体得できるコーンドリブル、

「言葉遊び」で判断力を高める脳の訓練……ほか。

多角度からの映像やスーパースロー再生で、

見てすぐ活用できる動画満載の特設サイトを用意。

はじめに

唐突ですが、ジャンケンで確実に勝つ方法をご存じですか?

正解は……、〝後出しジャンケン〟。「ズルい!」という声が聞こえてきそうですね。確かに、「同時に手を出す」ことがルールとなっているジャンケンで「後出し」するのは反則です。

でも、これがサッカーの試合中だったら? 

相手の動きを察知して、それを出し抜くプレーを選択する。本当はトラップしようと考えていたけれど、相手が体を寄せてくるのを見て、瞬間的にワンタッチで味方にパスを出すプレーに切り換える。個人個人が責任を担う局面を有利に進めることで、チームとしての勝利により近づくことができるのですから、称えられてしかるべきです。

本書は、サッカーのプレー中に〝後出しジャンケン〟できる選手になりたい、そんな選手を育てたい―そうした潜在的な願望をもっている人のために書きました。

私の念頭には、以前に耳にしたある選手の言葉があります。

「ボールをトラップする瞬間、ボールは目の端っこでしか見ていないよ。仲間や相対する選手の動きを確認しながら、『オレは右側にトラップしてドリブルに移るつもりだけど、お前はどうする?』『もし右側をケアしにくるなら、オレは左に動く準備もできてるけど、さてお前はどうする?』という感じで、相手と駆け引きしながらトラップの瞬間を楽しんでいるんだ」

サッカーで〝後出しジャンケン〟できる選手―彼はその、ひとつの理想型です。

違う表現をしてみましょう。「バスケットボールのように、サッカーをプレーできたらいいな」―そんなふうに思うこともあります。

足に比べてより器用に動かせる手でボールを扱うバスケットなら、たとえばドリブル中にボールをまったく見ずに目と意識を周囲の状況や相手の動きを認識するために向けることができ、そのぶん優位に駆け引きに臨むことが可能です。ギリギリでプレーの選択肢を変えられる。〝後出しジャンケン〟の本質のひとつがこれです。