貧困・格差
「ゆとり世代」学力低下はウソだった
~大人たちの根拠なき差別に「ノー」を!

「ゆとりって言うな!」
「ゆとり世代」とはなんだったのだろうか……〔PHOTO〕gettyimages


文/
後藤和智(同人サークル「後藤和智事務所OffLine」代表)

「ゆとり世代」とは誰か

4月、年度が替わり、大学や専門学校、高校などを卒業した多くの若い世代が、会社などの組織の中に「新人」として入ってきました。さて、いまの若い世代を象徴する言葉として、「ゆとり世代」というのがあります。そして、この言葉は、大概ネガティブなニュアンスで使われます。

2004年には、既に『週刊現代』(2004年7月10日号)が「今年の新入社員は”ゆとり教育バカ”で~す」という記事を掲載し、客観的な根拠なく《近年の新入社員、ことに今年の新入社員は、確実に出来が悪いはずなのである》(p.244)と書いています。

この手の記事が頻出するのは2007~2009年頃で、「「最近の新入社員は~」で済まない変化が起きている」(「「ゆとり社員」で職場崩壊」『AERA』2008年5月19日号、要旨)、「いつの時代も若者は「新しい種族」と見なされてきたが、今年は本当の「エイリアン」がやってきた」(「20代社員はこうして育てる――「ゆとり世代」戦力化作戦」『Fole』(みずほ総合研究所)2009年11月号、要旨)という論調が一般誌、経済誌、雇用の専門誌を席巻するようになります。

いまの若い世代が、「ゆとり教育」に代表される、「甘ったれた」「競争を知らない」世代であるとして、不当な行為を強いることを正当化したり、そこまで行かなくとも偏見をなんの疑問もなく垂れ流したりする向きすらあります。

例えば、2011年3月14日付北海道新聞によると、「ゆとり教育で育ったいまの若者は、失敗経験に乏しく打たれ弱い」という「説明」が、なんとジョブカフェが発行する中小企業向け冊子に掲載されてしまっているのです。

また2014年には、同年4月11日に「餃子の王将」の新入社員研修がテレビで放送されて問題になりましたが、同社はリリースに次のような文言を掲載しています。

〈 現代の若者は、家庭や学校で、こうした躾をされる機会が少なく、叱られることさえなかった人も多く、ややもすると、個人の自由という名目で我儘を通すことが黙認されてきました。こうした若者を受け入れるにあたって、通り一遍の無難な研修だけでは、学生気分から脱却させることはできません。

(略)今の若者には3つのことが欠けています。1つ目は「汗をかかないこと」、2つ目は「涙を流さないこと」、そして3つ目は「感謝を知らないこと」です。 〉

また、今年4月から、日本テレビ系で「ゆとりですがなにか」という新ドラマが始まったようです。私はドラマはあまり見ないのですが、ウェブ上で公開されているストーリーの概要を見る限り(4月11日閲覧)、30歳を間近に迎える「ゆとり世代」の生き様を描くもののようです。

しかし私が引っかかったのは「ですがなにか」という態度です。「ゆとり世代」という、差別的に使われている物言いは、果たして「ですがなにか?」と受け流していいものなのでしょうか。