ブルーバックス
68人に1人が「自閉症」の現実
~間違った「思い込み」が蔓延している

大隅典子『脳からみた自閉症』
〔PHOTO〕iStock


「答え」は脳のなかにある!

自閉症は「発達障害」のひとつであり、発達障害とは、正しくは「発生発達障害」である。つまり自閉症は、母胎で脳ができあがるまでの「発生」のプロセスにおもな原因があるのだ。そこに仕組まれた無数の「罠」は、誰の脳にも不具合を引き起こし、それが「個性」をつくる。

では、どんな個性が「自閉症」となるのか――。神経科学の最先端をやさしく解き明かす。

はじめに

米国の子ども向けテレビ番組「セサミストリート」をご存じの方は多いでしょう。

「クッキーモンスター」「ビッグバード」「エルモ」などのキャラクターたち(マペット)のやりとりを通して、言葉を覚えたり、友だちとのつきあい方を学んだりする教育番組で、1969年の開始以来、米国だけでなく150以上の国や地域で翻訳されて、親しまれています。日本でも1971年から30年以上にもわたって放送されましたので、ご覧になったことのある方は多いと思います。

この「セサミストリート」のホームページ「Sesame Street and Autism」で読めるウェブ絵本(We're Amazing, 1, 2, 3!)に最近、新しいキャラクターが加わりました。

髪の毛はオレンジ、目は緑。エルモの幼なじみの「ジュリア」という名前の女の子です。

ジュリアは、普通の子どもとはちょっと違った行動をとります。

たとえば、ブロック遊びのしかたが、普通の子どもとはちょっと違います。

人となかなか目を合わせません。

それから、音にはとても敏感なところなど……。

実は、ジュリアは「自閉症」なのです。