雑誌
鈴木敏文・電撃退任の舞台裏!~カリスマ経営者は「クーデター」に倒れるのか

終始穏やかな口調ではあったが、その心中は……〔PHOTO〕gettyimages

なにからなにまで異例づくめの退任会見だった。セブンイレブンという巨大な流通組織を一から作り上げたカリスマは、なぜ玉座を追われることになったのか。関係者たちが語る騒動の舞台裏とは?

自社の社長をボロカスに批判

「(セブンイレブン社長の井阪隆一氏は)一生懸命やってくれたんだろうが、COOとしての役割を果たしてくれていたかといえば、やはり会社全体としては物足りなさがあったことは事実。なんとか育てていきたいと思いましたが、7年も社長を務めたのだから、もういいだろうと(社長交代の)内示を出した。

その場では『わかりました』ということだったが、2日経って、『あの内示は受けられない』という。『(自分は)こんなことをやってきた。あんなこともやってきた』と並べ立てるんだが、それは違うだろうと。

そうしたら『私はまだ若いし、マンションの支払いもあります。セブンイレブン一筋でやってきました』と食ってかかってきた。ケンカ腰なんです。ああいう姿は見たことがなかった」

およそ、日本を代表する企業の会長が行う記者会見とは思えないほど、赤裸々な内容だった。口調は終始穏やかなものの、語っている内容はまさに自らの会社の部下に対するダメ出し、批判のオンパレード。異例の「ブチ切れ会見」であった。

4月7日、東京・八重洲。集まった200人近い記者たちの熱気がこもる部屋で、セブン&アイ・ホールディングスのCEO(最高経営責任者)で日本のコンビニ文化の立て役者である鈴木敏文会長(83)が、退任を表明した。

鈴木家vs.伊藤家

鈴木氏は同日午前の取締役会で、セブンイレブン社長兼最高執行責任者(COO)の井阪氏を退任させ、後任に古屋一樹取締役執行役員副社長を昇格させる人事案を提出した。しかしそれが否決されたため、自らセブン&アイの経営から身を引く決意を固めたと述べた。セブン&アイの幹部が語る。

「井阪社長を退任させるという人事案が取締役たちに知らされたのは、わずか3日前の4月4日のことでした。米国の投資ファンドでセブン&アイの大株主であるサードポイントが鈴木会長の人事案を批判していることは知っていましたが、まさか、この取締役会で鈴木さんと反対派が決裂するとは思ってもみませんでした。対立があっても、話し合いでうまく乗り切れるはずだと考えていた」