佐藤優直伝!「バカ扱い」されない教養力
〜ビジネスマンこそ「日本史」を学べ

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外交官は世界史を学ぶことはもとより、日本史を学ぶことも重視される。日本を説明できない外交官は、外国人から尊敬されないからだ。

これは昨今のビジネスパーソンにも同じことが言える。なぜなら、近・現代史の知識がビジネスに直結するからだ。日本史と世界史を関連づけて総合的に読むことがビジネスや社交にとっても不可欠なのだ。

佐藤優氏が構想に5年かけて練り上げた参考書、『いっきに学び直す日本史 近代・現代・実用編』と『いっきに学び直す日本史 古代・中世・近世 教養編』は同時刊行後、2日で重版がかかるほどの人気を集めている。

100冊新書を読むより、本書を一冊読むほうが基礎知識が身につくという本書。その序文を紹介する。

外交官になり、日本史を学び直す必要に迫られた

私は、同志社大学神学部の入試では世界史を選択した。大学でもキリスト教の研究は世界史と密接に関わっているので、日本史をまともに勉強する機会はなかった。しかし外交官になり、諸外国の知的エリートとコミュニケーションをとる中で、日本史を学び直す必要に迫られた。

私に寄せられる質問の多くが日本の歴史に関するものだったからだ。そのときに私の座右の書となったのが、本書の元となった安藤達朗『大学への日本史』(研文書院)である。

私が外務省に入省した1985年当時、4月はまるまる研修に充てられ、その後、5月から翌年2月までは各課に配属されて実務研修が行われた。私は欧亜局ソヴィエト連邦課と情報調査局情報課で勤務し、その実務研修が終わると3月から5月まで再び外務省研修所で研修した。

研修語(私の場合はロシア語)の講義が月曜から土曜まで毎日3時間行われ、それ以外は英語と外務講義の授業が行われた。外務講義の内容はペン習字、英文タイプ、礼儀作法、テーブルマナー、国際法、ソ連のスパイ工作、仏教、キリスト教、戦略論、安全保障論、軍事学など多岐にわたり、講義の水準もその道の第一人者によって行われる一級のものだった。

誰の講義だったか正確には思い出せないが、おそらく著名なOB大使だったと思う。研修生の1人が、こんな質問をした。

「在外に勤務するときは、どんな本を持っていけばいいですか?」

大使は少し考えたあと、「日本史の本を持って行きなさい。外国人から、私たちが受ける歴史に関する質問のほとんどが日本関連のものだ。そのとき、きちんとした応対ができないといけない。恥ずかしい思いをするだけでなく、自国の歴史をきちんと知らない外交官は、外国人から尊敬されない」と答えた。