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佐藤優が斬る!
欧米のビジネスエリートと「イスラム国」の共通点

社会人のための「役に立つ教養」講座
キリスト教・ユダヤ教・イスラム教は同じ「神」を奉じている〔PHOTO〕gettyimages

欧米のビジネスエリートの論理

外資系企業に勤めている人や、外国人とのやりとりが多いビジネスマンにとっては、キリスト教、中でもプロテスタントの教えを理解することがたいへん重要です。

なぜなら、プロテスタントの考え方、つまり「プロテスタンティズム」こそが、国家や企業をはじめ、現在のグローバル社会の基本システムを作っているからです。日本人にはあまりピンと来ないかもしれませんが、欧米のビジネスエリートの多くは、このプロテスタンティズムの論理に沿って生きているのです。

では、プロテスタンティズムとは何か。最大の特徴は、「神に救われる人は、生まれる前からすでに選ばれていて、名前が天国のノートに書いてある」「一方で、滅びに至る人も、生まれる前に選ばれている」、そして「われわれは、それをあらかじめ知ることはできない」という考え方です。

人生の中でさまざまな試練に遭っても、「自分は選ばれた存在なのだ」と信じて耐えるしかない。そうすれば、どんな試練も乗り切ることができる。あの人たちは、そういうふうに刷り込まれています。プロテスタント教徒は、死の間際、どんなに重い病で苦しんでも、「いい人生だった」と思いながら死んでいくわけです。

ですから、プロテスタントの思想は、逆境に非常に強い。どんな理不尽に襲われようと「これは神が与えた試練だ」と考えるし、また「最後には、私は救われる」と信じているから、決して諦めようとしません。

何かする時にも、自分の意思ではなく「神の意思だから、やる」。教会に行くにしても、「神によって教会に来させられている」。こういう考え方が、欧米のビジネスエリート、特に金融や実業の世界で成功した人々の間には共通しているのです。