金融・投資・マーケット
望まぬ円高を招いてしまった安倍首相の「不用意なひと言」
〔PHOTO〕gettyimages

ついに迎えた正念場

為替市場で円高が進んでいる。3月末、112円台だったドル・円レートは、7日には一時、107円台まで進んだ。これは2014年10月下旬以来の水準だ。

同月末に、日銀が量的・質的金融緩和の拡大(黒田バズーカ第2弾)を打ち出し、円安による企業業績のかさ上げを通して株高が進んだことを踏まえると、アベノミクスは正念場に差し掛かっている。

やや気になるのは、安倍首相の発言に関する報道だ。米メディアに対する「恣意的な為替介入は避けるべき」との発言は、結果的に介入がないとの判断を誘引し、円買いを加速させた。これまで、円安は国内景気の期待醸成を狙ったアベノミクスにとって重要だった。今後は円高、株安による景況感悪化などアベノミクスの逆回転に注意が必要だ。

確かに、上海でのG20以降、一方的な為替レートの変動に対する警戒感は高まっていた。しかし、その後の動きをみると、市場の関心は米国経済を圧迫してきたドル高の修正に向いているようだ。

ドル高の修正が進む場合、ドル買い円売りのオペレーションによって進んだ円安にも修正圧力がかかる。安倍首相の発言は明らかにこの動きを増幅させた。安倍首相の発言の本意は、「為替レートの安定が望ましく、恣意的に圧力をかけるべきではない」という趣旨だったのだろうが。

各国の通貨当局は、為替市場のドル高修正の中でいかに自国経済に好ましい為替レートを実現できるかと考えている最中だろう。

スイス中銀は積極的な介入姿勢を示し、ECBも期待以上の量的緩和策の拡充によって一定のユーロ安圧力を保とうとしている。どの国も輸出サポートのために通貨安を志向したいことは確かだ。この環境下では通貨安競争は進みやすい。

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