ロックで読み解く米大統領選
~これが歴代最高&最低の一曲だ!

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アメリカ大統領選と音楽の切っても切れない関係を明かす短期集中連載。最終回となる今回は、歴代最高&最低の一曲を決めよう。

←第1回「トランプの"炎上"選曲リスト」はこちらから

選曲の趣味が悪いクルーズ

民主党のバーニー・サンダース、ヒラリー・クリントン、そして共和党のドナルド・トランプ。それぞれがそれぞれの意味において強烈な個性を放つ大統領候補であり、選曲にもその個性は大いに反映されていた、と言える。

この三者と比べると幾分インパクトに欠けるのだが、しかし見過ごすことは出来なかった、そんな2016年の大統領選候補者たちの「選曲」や音楽的背景を、ここからランダムに見ていこう。

まず、一番趣味が悪い人の話をいこう。トランプだって? いやいや、彼は意外と「音楽をわかっている」のだ(第1回をご覧ください http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48314)。まぎれもなく最悪なのは、この人、共和党候補として現時点ではまだ踏ん張り中の、テッド・クルーズ上院議員だ。

クルーズ候補〔PHOTO〕gettyimages

なにしろ、公式のキャンペーン・ソングは「ない」のだそうだ。個人的にも「9.11のあとはロック音楽を聴くのをやめた」のだという(なぜだ!?)。いまはカントリーばかりを聴いていて「カントリーが私の心には響くんだ。『ここに私の国民がいる』と感じる。2001年以来ずっと」と、CBSのインタヴューで語っている。

そしてアイオワ州の党集会では、カントリー歌手のアーロン・ティッピンが9.11の直後にリリースした愛国ソング「ウェア・ザ・スターズ・アンド・ストライプス・アンド・イーグルス・フライ」が、場内には流されていた、という。

「だったらあんた、たんなるカントリー・ファンなんだろうが!」と読んでいる人はだれでもここで思うはずなのだが、なのに「9.11後は~」なんていちいち理由づけしたがるところ、タチが悪い。たぶん音楽のことなんてどうでもいいんでしょう、というのがもっぱらの評判だ。

その代わりにというか、なんというか、揶揄やからかい目的の「勝手に作ったクルーズ候補応援ソング」の動画や音源がネット上には溢れているので、ぜひ検索してみてください。

そしてさらに、上記のアーロン・ティッピンにもこんなことを言われている始末。
「まあ、そんなふうに大規模なとこで歌が使われるのは嬉しいけどね……でも俺はだれも応援していないから。この歌がみんなの愛国者としての義務を果たすきっかけになると嬉しいな。投票しようぜ!」――とまあ、まったくの他人事あつかいされているところに、悲哀がにじむ。