武器輸出大国へと突き進む日本~4兆4000億円の巨額プロジェクトも検討中
古賀茂明「官々愕々」
Photo:wikipediaより

安保法施行の陰でやっていた

3月29日、ついに、あの「安保法」が施行された。

昨夏から秋にかけて、人々はこの法案が憲法違反であることなどを理由に強い反対の声を上げ、国会前には数万人が押しかけた。この法律は、集団的自衛権の行使を容認し、自衛隊の海外派遣も歯止めが不十分なまま拡大させるものだ。施行されたことで、その具体的危険性がさらに高まった。

しかし、安倍政権は、5月から6月に予定される南スーダンへの派遣部隊の交代に合わせて、自衛隊に駆けつけ警護などの新しい任務を与えることを「十分な準備が必要」という理由で見送った。法案が施行されても何も変わらないかのように時が過ぎ、衆参の選挙が行われるまでには国民の間の危機感は薄れている。争点化を避け、選挙に勝つという安倍政権の戦略が見えてくる。むろん、選挙後には一気に自衛隊の海外派兵や任務拡大を大々的に進める腹である。

実は、安保法施行の陰で、我々が油断しているうちにもう一つ大変な事態が進んでいる。それは、武器輸出の問題だ。

憲法9条で戦争放棄をうたう日本は、他国への武器輸出を原則禁止してきたが、安倍政権はその国是を転換。'14年4月、閣議決定でそれまでの「武器輸出三原則」をなくし、武器や軍事技術を海外に輸出できる「防衛装備移転三原則」に変えてしまった。それから2年。国民は、何も変わっていないと思っているかもしれない。

しかし、日本がいきなり武器輸出大国に躍り出るような話が進んでいて、もはや止めようもない段階になっている。

それは、オーストラリア政府との商談だ。12隻の潜水艦を共同開発・生産するパートナーとして、豪政府が日本の三菱重工を選び、「そうりゅう型」潜水艦を採用する可能性が高まっている。受注額は、設計、建造、メンテナンスを含めて4兆4000億円。「超巨大案件」だ。