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ドナルド・トランプ「知られざる私生活」
~フロリダの大豪邸で30年仕えた執事が明かす

この男が大統領になることは悲劇か、喜劇か
〔PHOTO〕gettyimages

次々暴言を吐くが人気の衰えない大統領候補を、30年も間近で見てきた執事が口を開いた――「NYタイムズ」紙のジャーナリスト、ジェイソン・ホロウィッツ氏のスクープ記事をここに掲載する。

赤の帽子は危険信号

フロリダ州パームビーチにある、「マー・ア・ラゴ」では、すべてが光り輝いていた。プールの水面も、シークレットサービスが乗った黒いSUVもキラキラ光っている。暖かい風がヤシの木々のあいだを吹きぬけた。入り口には守衛が1人立っていた。

ここはアメリカ大統領選の候補者ドナルド・トランプの別荘だ。

私がマー・ア・ラゴを訪れた日は、ちょうど「キング」が「宮殿」に帰還する日だった。地中海様式で建てられた屋敷の部屋数は、なんと118室。もともとは90年前、シリアル会社で莫大な富を得た起業家の娘が建てたものだったが、30年前にトランプが買い取り、余暇を過ごすための場所に使っている。仮にトランプが大統領になれば、ここが避寒のための「冬のホワイトハウス」になるに違いない。

私がこの地を訪れたのは、屋敷の執事として、長年トランプに仕えてきた男、アンソニー・セネカル(74歳)に話を聞くためだった。セネカルはトランプが何を望み、どうすれば喜ぶのかをいちばんよくわかっている男だ。なにせ、この屋敷で60年、トランプの下でも約30年働いているのだ。

男は鼈甲の眼鏡をかけて口ひげをたくわえていた。黒いジャケットの胸元には白いポケットチーフが差されていた。なかなかの洒落者だ。

セネカルは主人の睡眠パターンからステーキの焼き方の好み(超ウェルダンが大好き)まで知り尽くしている。邸内にはヘアサロンがあるにもかかわらず、トランプはぜったいに利用せず、自分でセットすることにこだわるという「貴重な情報」も握っている(トランプ本人はカツラ疑惑を否定しているが……)。