「イスラム国」参加未遂の日本人帰国に思うこと~隣人がテロリスト、という恐怖がまもなくやってくる
佐藤優「インテリジェンスの教室」
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イスラム国(IS)に参加しようとして、トルコ治安当局に拘束され、国外退去処分を受けた日本人男性(24)が先日帰国した。警察当局は、この男性に犯罪の疑いや渡航の計画性がないことから任意での聴取をいったん打ち切ったという。しかしこの警察の見方は甘いと警笛を鳴らす佐藤優氏。その理由とは――?

※本記事は、『佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」』に収録している文化放送「くにまる・じゃぱん」の放送内容(2016年3月25日放送)の一部抜粋です。

日本人が日本人を殺す日

渡辺徹(以下渡辺): このニュースを聞いた時、本当に驚きました。ISによるテロはもう対岸の火事ではない。テロリストが世界各地に散っているだけでなく、私たちの隣人をも携わろうとしていたことに衝撃を受けました。

佐藤優(以下佐藤): これは法律に照らすと引っかかるところはないということなんですが、この見方は甘いです。

例えば、「バイクは好きだけど、学校の勉強は嫌いだ」という人が、中学校の先輩に誘われて一緒にバイクを乗り回し、「スピードを150kmぐらい出してやれ」とやっているうちに、だんだん暴走族のグループに入っていく。そこから広域団体に近づいていくケースがあるわけですよね。

渡辺: ふむふむ。

佐藤: それと同じように、この若者がもし、イスラム国に入国したとして、住宅と奴隷の女性を与えられ、銃の使い方を教えてもらって、戦闘に参加して略奪を始めるようになる。その場合「ああ、おもしろい」ということになりかねないんです。

母親の話では、この若者はモデルガンを持っていたと報じられました。ということは銃に関心がある。本当の鉄砲で人を殺せて、なおかつ、ISではヤズィーディー教徒という太陽を拝む女性を性的奴隷にしていいということになっていますから、「これはおもしろい」と思ってしまう。今度日本人がISの人質になった時、横でナイフを持っている黒装束の人物が日本人になっている可能性は十分にありますよ。

渡辺: はい。

佐藤: そういう軽い気持ちで行く人間のほうが急にテロリストになっちゃう。