高校野球、公立校が強豪私学に勝つには? 明石商が見せた"戦略"と"意思"
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センバツで印象に残った言葉

「それでも決めないといけない」

その男は、そう言い切ったという。これ、なかなかいい言葉ではないだろうか。

センバツ高校野球は、ご存知のように、智弁学園の優勝で幕を閉じた。好投手と前評判の高いピッチャーが何人かいたけれども、あれ? 意外にたいしたことないのかな、とやや拍子抜けのすることが多かった。

そう感じるのは、まあ、致し方ないことかもしれない。なにしろ、去年は、高橋純平(県岐阜商高→福岡ソフトバンク)がいたからなあ。彼ほど抜きんでた投手はいなかった、ということです。

でも決勝に残った智弁学園・村上頌樹、高松商・浦大輝の両投手は、さすがに下半身を使って腕をしっかり振る好投手だった。

という話と冒頭の言葉は、関係ない。今年のセンバツで、個人的にいちばん印象深かったのは、明石商である。一回戦の日南学園戦は8回、9回と、2イニング連続してスクイズで得点して、3-2のサヨナラ勝ち。9回のサヨナラの場面は満塁からのスクイズで、しかも打者は最初からバントの構えをして打席に入り、3球目に実際にバントして成功した。

ほほう、久しぶりに、「ザ・高校野球」だなあ、徹底してるなあ、と感じ入ったのである。

一貫していた采配

明石商はベスト8に勝ち進み、三回戦で龍谷大平安と対戦した。延長12回、1-2と惜敗。冒頭の言葉は、その試合後、狭間善徳監督がもらしたものである。
これには、少し説明が必要だ。

初戦の戦い方でわかるとおり、明石商は徹底してバントを多用してくる。もし1死三塁の場面が来れば、それはもう、スクイズに決まっている、といっても過言ではない。もちろん、相手の平安も、そのことは十分にわかっている。

まずは1-1の同点で迎えた7回表。明石商は、1死三塁という、まさに絵に描いたような場面を迎える。