貧困・格差
地方で「空き家」が急増する意外な理由
~大都市を超えた地方「消費社会」のリアル

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文/貞包英之(
山形大学准教授)

いま地方都市のイメージは、「明るいもの」と「暗いもの」とに引き裂かれている。経済の沈滞と人口停滞に襲われ取り残された場か、逆に自然や歴史にあふれる希望の証しとして、地方はしばしば誇張され語られるのだが、ではそうしたイメージの隘路を縫い、地方都市を具体的に考えていくことは、どうすればできるのだろうか。

そのために、ここでは地方都市での「消費社会」の展開に注目したい。地方都市で人びとは何をして日々暮らしているのか。そうした生活のディテールに注目するとき、さまざまな「消費」の活動が無視しがたいものとして浮かびあがってくる。

趣味やレジャーなどの娯楽にかかわるだけではない。教育を受け、友人と付き合い、恋愛をし、介護し、自宅でやすらぐ――。生活の大半を占める活動の質を、適切な商品をどれだけ買えるかが大きく左右している。日々おこなわれる消費活動を無視して、地方都市の暮らしのリアリティを適切に捉えることはできないのである。

地方「消費社会」の展開

もちろん消費が活発なのは、地方都市だけではない。いうまでもなく大都市では、最新の流行を追ったきらびやかな消費がさかんである。他方、人里離れた過疎的な地域でも食料品や電気、水、ガスなどを買うことなしでは生活できない。「消費社会」は、いまでは日本全国に広がり、暮らしを支える生活の条件となっている。

それでもなお地方都市を考えるために消費に着目したいのは、その問題がこれまであまり語られてこなかったことに加え、数量的にも地方都市における消費の活発さが無視できないためである。コストの安さと生活の相対的安定のおかげで、地方都市では、ときに大都市を超える消費さえみられる。

たとえば図1は、一世帯あたりの消費支出の推移を示したものである。大都市(政令指定都市及び東京区部)や全国平均以上に、中都市(大都市を除く人口15万人以上の都市)で活発な消費がおこなわれてきたことが読み取れる。

2000年代の経済的な厳しさを反映して、全体的な下降はあきらかだが、それでもなお、中都市の家庭は相対的にさかんに商品購買を積み重ねているのである。