大統領選 アメリカ
トランプよ、俺の歌を使うな! ニール・ヤングもR.E.M.も大激怒……お騒がせ男の「炎上選曲」が止まらない
アメリカ大統領選を10倍楽しむ
アメリカ大統領選とキャンペーン・ソングは切っても切れない関係にある。〔photo〕gettyimages

キャンペーン・ソングなくして大統領選なし!

役者が揃ったせいか、2016年のアメリカ大統領選は、民主・共和両党が候補を絞り込む予備選挙の段階で、いつにも増して大きな注目を集めている。トランプを止めるのはだれか? 結局最後はヒラリー、なのか?――

外野席であるここ日本でも関心は尽きない、4年に一度の「自由主義陣営最大のお祭り」を、より面白く観戦してみるためのちょっとした視点をひとつ、僕はここで、みなさんにご提供してみたい。

それは「歌を聴いてみる」ことだ。各候補が選んだ「キャンペーン・ソング」の数々を、チェックしてみることだ。そこから選挙戦の帰結すら占えるかもしれない――なんて言うと、荒唐無稽に聞こえるだろうか。「歌で選挙の当落がわかるのかよ?」と。たしかに、日本社会の常識の上に立脚すると、そんなふうに思えるかもしれない。

が、違うのだ。「アメリカの選挙」だけは。なかでもとくに「アメリカ大統領選」にかんしては、「キャンペーン・ソング」が、選挙戦できわめて重要な役割を果たしている。

たとえば、アメリカ英語で「キャンペーン・ソング(Campaign Song)」というと、第一義的に「選挙戦で用いられる宣伝用の歌」という意味になることを、ご存知だろうか? 日本だと、カタカナ語の「キャンペーン」は、広告用語なども含め多種多様に使われる。派生語として、キャンギャル、ネガキャン、そのほかいろいろある。

しかしアメリカでは、そもそもの単語の語義のなかの「選挙活動」という意味に沿ったものこそがまず「Campaign Song」なのだ。つまりそれほどまでに、アメリカの大統領選とポピュラー・ソングとは、切っても切れない関係がある。しかも、昔から。

この伝統は古く、初代大統領であるジョージ・ワシントンが「キャンペーン・ソング」の始祖だという説あり、1800年の選挙戦でジョン・アダムズの支援者が歌って以来だという説あり、いやいや、1824年の選挙戦でのアンドリュー・ジェファーソンの「ザ・ハンターズ・オブ・ケンタッキー」から定着した、との説あり……とどのつまりは、ほとんど最初から「つねに歌とともにあった」のがアメリカ大統領選だということが明らかとなっている。

ありとあらゆるポピュラー音楽の母国であり、最大生産国にして最大消費国なのがアメリカだ。また同時に、なにによらずコンペティションやコンテスト、そして「選挙」で雌雄を決することを好むのもアメリカ社会の特徴だ。

このふたつの特質が合致して、今日にまで至る「キャンペーン・ソングなくして大統領選なし!」という伝統が形づくられていったと言える。