大統領選 アメリカ
ウェブがもたらした米大統領選の「異変」
〜「フィルターバブル」を考える

「旋風」の陰で起きている、私たちのコミュニケーション基盤の変化とは? 〔photo〕gettyimages

TEXT 池田純一

米大統領選"異変”の理由

現在、アメリカでは11月の大統領選に向けた候補者選びの予備選が本格化している。すでに多くのメディアで取り上げられているように、今回の予備選が興味深いのは、共和党のドナルド・トランプと民主党のバーニー・サンダースという二人のアウトサイダーが旋風を巻き起こしていることだ。

「アウトサイダー」というのは、トランプにせよ、サンダースにせよ、生涯をかけた共和党員、民主党員というわけではなく、ほとんど今回の選挙戦に向けて、それぞれ共和党入り、民主党入りをしたようなものだからだ。そして、「旋風」というのは、そんな新参者の二人が多くの党員の支持を得て、予想を越えた善戦をしているためだ。

トランプに至っては共和党候補者の筆頭となり、むしろ新旧の共和党リーダーから「トランプ降ろし」を叫ばれるほどの進撃ぶりだ。

サンダースにしても、ヒラリーを簡単には勝たせていない。夫のビル・クリントン元大統領の支持者に加え、上院議員ならびに国務長官の実績を彼女が持つことを思えば、単なる善戦といって済まされる段階を超えている。

こうした二人のアウトサイダーの躍進ぶりを説明するために、最近、アメリカのメディアで頻繁に見かける言葉が「ポピュリズム」であり、これは「グラスルーツの熱狂的な動き」のことを指している。

では、なぜ現在、アウトサイダーによる、なかば共和党/民主党の乗っ取り(takeover)のようにすら見えるポピュリズムの動きが起こっているのだろうか。

その問いに答えるためによく使われる言葉が「フィルターバブル」である。

「フィルターバブル」とは、インターネットで日頃触れる情報が、一定方向に偏ったものになる傾向があることを示す言葉であり、もともとはイーライ・パリサーの『フィルターバブル』に由来する。

原著は2011年の出版で、邦訳は2012年に『閉じこもるインターネット』というタイトルで出されていたのだが、今回、タイミングよく原著タイトルに変更され文庫化された。