民進党「脱原発宣言」の茶番劇
〜無意味な野党再編にはもううんざりだ…

民進党のwebサイトより

民主党と維新の党が合流して「民進党」になる。「合流」とは言うが、実質的には民主による維新の吸収合併だ。吸収合併なら党名変更の必要はなさそうだが、「民主党」のままでは戦えないということで両党が一致した。確かに民主党は大嫌いだという人が多いのは事実だ。

しかし、それは、民主党の政治家や政策、政権時代の実績に対して強い不信感を持つ人が多いということであって、決して「民主」という名称だけが悪いわけではない。「坊主憎けりゃ袈裟まで」というが、だからと言って、袈裟を新調すれば民衆に憎まれていた「坊主」が、にわかに人々に愛される「和尚さん」になれるわけではない。

名称変更の騒ぎは、PRという意味では大きな効果があったが、それは一時的なものだ。では、肝心な中身はどうなのか。それを示すのが民進党の綱領だ。

今回は政策を一新するチャンスだが、実際には民主党議員の考え方がバラバラなので、あらためて政策論議をすると、それが顕在化して逆に悪い方向に変わってしまう可能性もある。

それをもっとも端的に表すのが脱原発政策だ。

民主党議員の大半は、日本労働組合総連合会(連合)の支援がなければ選挙を戦えない。だから、連合の有力メンバーである電力総連や機械・電機産業などの原発関連労組に気兼ねして、「脱原発」を声高に叫ぶことができない。さらに、党内にタカ派も多く、核武装のために原発産業を残すべきだと考えている人さえいて、今回の綱領作りでは、彼らの主張が暴発した。

実は、維新との統一会派作りの前提となった基本政策合意では、当初の「2030年代原発ゼロ」という文言に原発推進派が抵抗し、最終的に「2030年代原発稼働ゼロ」と「稼働」の二文字を追加していた。その意味は、'39年12月31日に原発の稼働をゼロにする、つまり、'39年12月30日までは原発を動かし、決して「廃炉」まではしない。

従って、'40年以降の再稼働を否定していないと読む事もできる。これで、電力総連などに恩を売るわけだ。これ自体大きな後退だが、民進党の綱領では、「原発に依存しない社会を目指す」という文言にさらに変えられてしまうようだ。この話を聞いて、私は驚愕した。

「ゼロ」という言葉を消したのは、原発は永久に残すということだ。「原発に依存しない」という文言にすれば、1割なら問題ないだろう、2割でも大したことはない、3割だと微妙だな……という具合に、どんどん拡大できる。安倍政権でさえ、'30年に原発比率を20~22%に抑えると言っているのに、民進党綱領は、上限も時期も示さない。

しかも、単に「目指す」というだけ。高い原発比率のままでも、原発に依存しない社会を「目指して」いれば公約違反にはならない。安倍政権よりも露骨な、原発推進政策への転換とも取れる。

こんな茶番を見せられると、こう叫びたくなる。

「野党再編? 笑わせるな」
「政党なんか、うんざりだ!」

政治不信がますます高まれば、安倍政権は野放しになり、暴走に拍車がかかるだろう。市民にとって、試練の時が続くことになりそうだ。

『週刊現代』2016年4月9日号より