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佐藤優直伝! ロシア発の「ある奇妙な報道」から、北朝鮮の核開発を読む
社会人のための「教養」講座
〔PHOTO〕gettyimages

「太陽に着陸した」の意味

日本人は学校で教わりませんが、海外のエリートが必ず会得している「教養」があります。それは「アナロジー(類比)」、「メタファー(暗喩)」、そして「アレゴリー(寓話)」というものです。

これらの考え方は、実は国際情勢を読み解くうえで非常に重要です。というのも、国際社会では、しばしば重要な情報が、暗喩や寓話のかたちでそれとなく発信されることがあるからです。

具体例を挙げましょう。

〈北朝鮮の宇宙飛行士が、太陽に着陸〉

こんな見出しの記事がネット上で話題になったのは、'14年11月のことです。内容は、「北朝鮮の17歳の宇宙飛行士が太陽への着陸に成功し、無事地球に戻ってきた」という、きわめて荒唐無稽なものでした。

このニュースを紹介したのは「ロシアの声」というウェブサイトです。このサイトは、現在は「スプートニク」という名前に変わっていますが、一言で言えばロシア対外情報局(旧KGB)がバックについた、ロシア国営のニュースサイト。ですから、このサイトが何の意味もない情報を発信することはあり得ません。

最初この記事を見たとき、私も「何だろう?」と思いましたが、後から「こういうことだったのか」と分かった。きっかけは連載第1回(「金正恩の思考回路をどう読み解くか」http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48109)でも触れた、1月6日に北朝鮮が実施したと発表した「水爆実験」です。

以前にもお話ししたとおり、この実験は明らかに疑わしいものでした。水爆は原爆の数百倍以上の破壊力があるので、本当に実験をしたら分かるはずですし、北朝鮮は、水爆が搭載できるミサイルも爆撃機も持っていません。

では、こうした事実を踏まえて、「北朝鮮が太陽に着陸」という奇妙な報道を、どう読み解くか。