「失敗は成功のもと」は科学的に正しかった!~脳研究者・池谷先生の新たな発見

2016年03月24日(木) 池谷裕二

池谷裕二賢者の知恵

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それでも残る「不思議」

――今回の実験でマウスにあたえた課題は、「迷路を解く」というものでしたが、他の課題でも、初期の失敗がその後の学習の効率に影響を与えるのでしょうか?

池谷 いまの段階では、まだわからないですね。他の課題でしっかり研究した結果がまだないのです。ですが、昔から「失敗は成功のもと」といいますし、ほかの課題でも同じような結果になるのではないかな、と思います。マウスの脳と人間の脳のしくみはよく似ているので、同じことが人間にもいえるのではないでしょうか。

――池谷先生ご自身も、たくさん失敗したことが、のちの成功につながった! というご経験がおありですか?

池谷 研究者はもともと、毎日が実験、失敗の繰り返しのようなものです。プロとは、その分野のありとあらゆる失敗を知っている人だと思います。結局、脳がやっていることは消去法なのでしょうね。失敗から学ぶのです。

――失敗を恐れてはいけないということですね。なんだかとても勇気づけられます……。

池谷 でもじつは、もっとおもしろいことがあって――。この実験で「マウスが最短経路を選んだ」という結果が出て、私は衝撃を受けたんです。もっと遠回りの経路を選ぶものだと思っていましたから。

――え? どうしてですか?

池谷 私たちは「最短距離を選ぶ」という結果を当たり前に受け入れてしまいますが、この結果は、マウスにとっては当たり前ではないのです。そもそも、マウスは動くことが大好きな動物です。回し車なんかに乗せると、ずっと遊んでいるでしょう。マウスの近道するモチベーションがどこから生まれるのか、理由がサッパリわかりません。

マウスの実験を手掛けている研究者なら、みんなこの結果を不思議がるはずです。

――人間にとっての常識は、マウスにとっての常識ではない、と!

池谷 そういうことです。なぜ近道を選んだのか、なぜ失敗をすると学習がはやいのか。人間からしてみたら一見、腑に落ちる結果ですが、科学的にはまだわからないことだらけです。マウスの気持ちになってみないとわからない、ということです(笑)。

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