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「睡眠障害」この大敵と付き合う、あるひとつの方法
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睡眠は総量が限定された「財産」

男は早く床につく。眠ることができない。寝返りを打つ、しごくもっとも。シーツをよじる。葉巻に火をつける。ちょっと本を読む。また明かりを消す。しかし眠くなってこない。
(中略)医者や友人らに言われたことを全部やってみるが、男は何としても眠れない。・・・朝六時、彼はピストルに弾をこめ、脳天をぶちぬく。死にはしたが、結局眠ることはできなかった。不眠症はまったくもってしつこい。
――『ボルヘス怪奇譚集』(ホルヘ・ルイス・ボルヘス他編、柳瀬尚紀訳、晶文社刊)より抜粋

この男のような気持ちは不眠症、昨今では「睡眠障害」などと呼ばれることが多いが、いずれにせよ眠れない苦しみから抜け出せない人には、よく分かるはずだ。

睡眠障害にも色々あるが、筆者の場合は、いわゆる「早期覚醒」と呼ばれる症状で、たとえ前の晩の午後11~12時(午前0時)頃に就寝しても、午前3時あるいは4時といった、まだ暗いうちに目が覚めてしまう。いや、そこまで眠れればまだマシな方で、下手をすると午前2時半頃には目が覚めてしまうのだ。

一旦目が覚めると、頭脳が自然に活動を開始する。何も考えたくないのに、日々の仕事や生活のことなど、色々な考え事が脳裏を駆け巡る。

そうかと思えば、過去の嫌な思い出や悔しい記憶などが突如蘇り、怒りや妬み、後悔や不安、自己嫌悪や不信感などネガティブな感情に心が支配され、体温が急上昇して汗で身体がじっとりしてくるのが分かる。「ああ、もう眠れないな」と諦める。

最悪なのは、これが今後、死ぬまで永久に続くということ。そして特に不眠症状が酷かった夜の翌日は、ほぼ仕事にならないことだ。そんな日は、全く気力が湧かず、ほとんど何も手がつかないのである。

また睡眠障害にはリズムがあり、比較的良く眠れた日の翌日はほとんど眠れず、その逆もある。従って何か大切なイベントが控えている時には、その前の晩に合わせて眠りのピークをもっていけるよう、あらかじめ慎重な予測と計量が必要になる。つまり筆者にとって睡眠とは、総量が限定された貴重な「財産」なのである。