賢者の知恵
2016年03月24日(木) 田中 俊之

男が働かない?いいじゃないか!人気学者が、若者男子を全面擁護する理由

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【PHOTO】iStock

仕事に手ごたえを感じることなどあるのか ?

話題の「男性学」をけん引する武蔵大学社会学部助教・田中俊之氏。新著『男が働かない、いいじゃないか!』を執筆する中でたどり着いた境地とは?

「どうして働かなければいけないのか」という疑問に対して、「男なら働くのが当たり前」や「男で無職は大問題だろう」などといった安直な言葉で誤魔化すことはしません。男性学を専門にする研究者としての立場から、なぜ性別が男だからという理由だけで、40年という長期間にわたってフルタイムで働き続けなければならないのかについて考えていきたいと思います。

僕は大学卒業後に大学院に進学したため、30歳近くまで学生でした。「普通」のルートから外れることは、はっきり言って恐怖でした。そのために味わった屈辱や苦悩は数えきれません。「普通」の男の人生に疑問を持たず、おとなしく就職しておけばよかったのではないかと何度も後悔しました。

それでも、なぜ男性は仕事中心の生き方しか許されないのかという疑問を持ち続けてきましたし、その理由を探ることが現在でも研究のモチベーションになっています。

ようやく大学教員として働き始めた最初の授業、しっかりと準備をしていったはずが、わずか30分で用意してきた内容をすべて話し終えてしまいました。「今日は初回だからこの辺にしておこう。次回から本格的に講義を始めます」とキリッとした顔で言い切り、なんとかその場をやり過ごしました。

この失敗以降、授業準備のために膨大な時間を費やし、仕事ばかりの毎日を送ることになります。それでも講義が円滑に進むとは限りません。講義の準備は万全でも、おしゃべりをする学生がいれば注意をしなければいけませんし、大教室の授業では遅刻や途中退席についても気を配る必要があります。

中にはポテトチップスを食べながら講義を受ける学生もいました。ただ、この出来事をきっかけとして、「ポテトチップスの袋に手を突っ込んでいる学生がいても、デスノートを書いている危険性があるから怖くて注意できないので、お願いだから授業中に食事をするのはやめてください」という初回授業時に使用する定番のネタが完成しました。だから、むしろ彼には感謝すべきなのかもしれません。

いずれにしても、一生懸命に働いているにもかかわらず、自分の思う通りにならないことばかりでした。当然、仕事に手ごたえを感じることはできません。職種は違っていても、若手社員であるみなさんには、この気持ちが分かるのではないでしょうか。

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