FRBイエレン議長を悩ませる「利上げ」のジレンマ

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イエレン議長のジレンマ

3月15日と16日に開催された米FOMC(連邦公開市場委員会)では、大方の予想通り政策金利であるFFレートが0.25~0.5%で据え置かれた。

注目されたのは、FOMCに関連する専門家のアンケート調査による政策金利見通しだ。その見通しによると、昨年12月時点にFRBの年内利上げは4回と見られていたものが、今回は回数が2回に減ったことだ。

この予想は、FRBが経済の先行きにより慎重になっていることを示すものだ。一方、市場専門家の間では、「年内の利上げすら困難ではないか」との見方も台頭している。今後の経済の展開次第で、FRBの舵取りがどのように変化するかは定かではないが、FRBの想定以上に金融市場が低金利を期待していることに気を払う必要がある。

FOMCの内容の中で最も重要なことは、参加者の政策金利見通しの中央値が前回の1.375%から0.875%に低下したことだ。この数字は、FRBの経済専門家が2016年末までに2回の利上げを進める可能性が高いことを予想している。これは、FRBが先行きに対して慎重な考え方を強めたことを示す。

一方、イエレン議長は、毎回の会合で利上げの可能性があることや、FRBの対応が後手に回ることを防ぎたいとの考えを示し、過度な低金利観測を牽制した。これまで同様、議長は先行きの金融政策がデータ次第であること、インフレ率が数年で目標水準に達する可能性についても言及した。

今回、イエレン議長の言葉を見る限り、年内2回の利上げの新しいガイダンスが示されたわけではない。足下の金融市場は少しずつ安定を取り戻し、米国の経済指標にも若干の改善が表れている。非農業部門の雇用者数も増加している。それは投資家に利上げがあることを意識させうる材料だった。

本当にFRBが利上げを望むのであれば、足下の金融情勢の回復をとらえて、今後の地ならしの発言や予想が示されていたかもしれない。しかし、FOMCの内容を総括すると、今後の政策金利の予想を多様化させるような情報は示されてはいない。それだけ、FRBは世界経済の先行きに慎重な見方をしているということだ。