中国
クリントンが中国語で四字熟語を披露
ワシントン「G2」から見えた「米中蜜月」2大国の思惑

日本は菅首相の訪米日程も決められないまま
第3回目の米中戦略・経済対話〔PHOTO〕gettyimages

 いまやG8(先進国サミット)の時代は終わり、世界を動かすのは、G20(主要国サミット)とG2(米中首脳会談及び米中戦略・経済対話)というのが、国際社会の常識となりつつある。そんな第3回目の米中戦略・経済対話が、現地時間の5月9日と10日に、ワシントンで行われた。

 出席者は、中国側が王岐山副首相、戴秉国国務委員を代表とする26部署から計30人の大臣クラス、アメリカ側はガイトナー財務長官、クリントン国務長官を代表とする30部署から31人の大臣、副大臣クラス。要所要所では、オバマ大統領やバイデン副大統領も顔を出し、豪華な顔ぶれとなった。いわば北京の官庁街が、そのままワシントンに引っ越したようなもので、100件以上に上る重要案件を、両国の代表団がワシントンの各所で話し合ったのだった。

 この米中戦略・経済対話では、北京大学に留学経験のあるガイトナー財務長官と、中国通を自認するクリントン国務長官が、オープニングのスピーチで、それぞれ中国語で、「場」にふさわしい四字熟語を披露するのが慣わしになっている。今回も、二人は競うように述べた。

 ガイトナー「有福同享、有難同当」(福が有れば共に享受し、難があれば共に対処する)

 クリントン「逢山開路、遇水架橋」(山に逢えば路を開き、水に遇えば橋を架ける)

 参列した中国人によれば、ガイトナー長官の方がやや発音がよかったそうだが、二人とも拍手喝采となった。

米中の潮流が変わった

 実際の会議の場では、オープニングの和気藹々から侃々諤々へと、雰囲気が一変した。私は一昨年7月の第1回、及び昨年5月の第2回と注視してきたが、前2回と比較して、今回は二つの大きな潮流の変化を感じた。

 一つ目は、米中が攻守所を変えたことだ。一昨年の第1回目の最大の主題は、米中間の貿易摩擦だった。アメリカが、中国からの不当に安い製品に対して中国側を強く非難し、中国は防戦一方となった。結局、第1回目は両者物別れに終わり、以後アメリカは対中経済制裁を連発し、「米中通商戦争」と言われた。

 昨年の第2回目は、同じくアメリカ側が、中国に対して人民元を切り上げるよう強い圧力をかけた。この時も守勢に回った中国は、対話の翌月に人民元改革を発表したが、これに満足しないアメリカが攻勢を強め、昨年夏以降、いわゆる「米中通貨戦争」が勃発した。

 ところが今回は、逆に中国の側が、攻めに転じたのである。中国の経済官僚が解説する。

「われわれが本来テーマにしたかったのは、人民元の国際化だった。人民元を、ドル、ユーロに続く『第3の基軸通貨』に押し上げるというのが、わが国の大目標だからだ。しかし、3月末に訪中したガイトナー長官が、『兌換の自由化、為替レートの自由化、中央銀行の独立の3点が実現しない限り、アメリカとして人民元の国際化を支持しない』とクギを刺したため、このテーマは萎んでしまった。代わって、中国資本のアメリカへの投資自由化を、今回の主要テーマに据えたのだ。

 『中国資本のアメリカ投資』は、3つのカテゴリーに分類できる。第一に、中国政府による投資で、その主なものは米国債の購入だ。わが国はすでに3兆ドルを超える外貨準備があり、最大の米国債引き受け国となっている。第二に、中国の非政府機関によるアメリカのファンドなどの購入だ。そして第三が、中国企業によるアメリカへの直接投資だ。今回、特に風穴を開けたかったのは、この『第三の投資』だった。われわれが『走出去』(走り出ていく)と呼ぶ中国企業の海外進出を、今後、加速させていく」

 この経済官僚が解説するように、今回中国側は、アメリカ側にかなり声高に、中国企業がアメリカに投資する際の環境整備を迫ったのだった。

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