賢者の知恵
2016年03月16日(水) 渡辺将人

続発する「反トランプ」抗議デモ
〜米大統領選「人種」争点化の危険水域に

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トランプの勢いが衰えない中、「反トランプ」の動きも強まっている 〔photo〕gettyimages

文/渡辺将人(北海道大学)

続発する「反トランプ」抗議デモ

フロリダ、オハイオというルビオ、ケーシック両氏の地元州をはじめとした複数の州での予備選が行われる3月15日。両州でトランプが勝利すれば、トランプは指名に王手であるが、オハイオ州でケーシック候補が粘りを見せている。

スーパーチューズデー直後、筆者は米シンクタンク訪問と大学での講義参加などでふたたび渡米したが、複数の都市を経て(15日にやはり予備選が行われる)イリノイ州シカゴを訪れた。

遭遇したのはトランプ候補の集会が、支持者と抗議者の一部暴力的な衝突で中止された騒乱だった。いわゆる「ミニ・スーパーチューズデー」を前に「シカゴ事件」は不穏な空気を増幅させた。

* * *

3月11日、イリノイ大学シカゴ校でのトランプ集会には1万人近く集まっていたが、会場外には数百人が抗議に押し掛けた。会場内では紛れ込んできた抗議者と支持者が小競り合いを始め、警察当局によると5名が逮捕され、2名の警官が流血するなど負傷した。

シカゴは1968年民主党大会でヴェトナム反戦のデモ隊が乱入し、「流血」騒ぎが起きた土地だけに象徴的だ。米メディアは大展開で報道した。

兆候は以前からあった。

2月のアイオワ党員集会の直前、アイオワ大学の講堂でトランプが集会を開催した。象徴的だったのは会場外の20人程度の小規模デモだった。アイオワ大学の学生でサンダースのTシャツを着ている者もいれば、宇宙人のマスクをかぶるヒスパニック系の中年女性もいた(不法移民を「エイリアン」と批判する表現を逆手にとってのユーモア)。

シカゴのような「流血」の小競り合いは起きなかったものの、抗議者がトマトをトランプに投げつけたことで逮捕された。こうした集会での抗議シーンは、トランプ集会には付き物になりつつある。

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