視力2.5!驚異の身体能力と集中力~オコエ瑠偉の快進撃が止まらない東北楽天のゴールデンルーキー

2016年03月19日(土) 週刊現代

週刊現代賢者の知恵

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しかしふたを開けてみれば、3月3日の時点でチーム内の紅白戦を含めて11試合に出場。9打点は何とチームトップなのだ。マンツーマンで密着指導を続ける池山隆寛打撃コーチが明かす。

「オコエはこれまで、キャンプ前の予想を上回る成長をしてくれています。

僕は去年まで5年間、ヤクルトのコーチでした。昨シーズン、トリプル3(3割、30本塁打、30盗塁)を達成した山田哲人のルーキー時代も指導しています。哲人は高校野球(大阪・履正社)を終えて入団するまでにしっかり振り込んでいて、スイングスピードが速く、手のひらにマメを作ったのも見たことがなかった。

でも、オコエの場合はいい意味でまっさらでした。高校時代は足の速さを生かすために『とにかく転がせばいい』という考えでバットを振っていた。でもそれでは当然、プロでは通用しない。ですから、まず『しっかり振る』ことからはじめた段階です。

オコエは今、手のひらにマメができていて、それがつぶれて痛みが出るのを少しでも和らげるため、テーピングをまきながらバットを振る日々です。一つ一つのプレーを見れば、まだ未熟な部分のほうが目立ちますが、試合になると数字を残せる、実戦での強さがあるんです」

抜群の修正力と対応力

将来性が豊かな逸材ではあるが、今は「話題先行」の客寄せパンダ。そう考えていた多くのメディアを、オコエは自らのプレーで、見事に裏切った。

ベールを脱いだのは、対外試合4試合目、2月20日の阪神戦(宜野座)。相手の先発は球界を代表する右腕・藤浪だ。8番・センターでスタメン出場したオコエは試合前から、ブルペンで調整する藤浪を鋭い眼光でとらえ、ベンチ内でバットを握り、したたかにタイミングをあわせていた。

そして0-0の二回一死一、三塁で第1打席が回ってきた。2球目の151kmの外角直球をセンターへ弾き返し、先制タイムリー。その前に出場していた対外試合3試合で放ったヒットはいずれも変化球をとらえたもので、直球をとらえたのは、初めてだった。並のルーキーではないことを印象付けたわけだ。

池山コーチが、その前日にあった「予兆」を語る。

「実は阪神戦の先発が藤浪だということが事前にわかっていたので、前日の全体練習の後、オコエを含めた新人3人を残しました。藤浪の剛速球を想定し、目を慣れさせるため、最大150kmを出せる打撃マシンで練習させました。

1球打つたびに、1歩ずつマシンに近づき、打席からマウンド方向に約5m近づいて打ちこみを続けました。大卒の新人選手2人は、150kmのスピードに慣れていたはずですが、オコエには多少、戸惑いがあるだろうと思っていた。

でも、オコエは『(世界最速の171kmの速球を投げるメジャーリーグの左腕)チャップマン、チャップマン』って興奮気味にボールにむかい、150kmをゆうに超える剛速球に対し、しっかりスイングしてボールに当てたんです。彼の対応力のよさでしょうし、ボールを追う動体視力のよさに感心しました」

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