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視力2.5!驚異の身体能力と集中力~オコエ瑠偉の快進撃が止まらない
東北楽天のゴールデンルーキー
上半身の筋肉は発達中。185cmの身長はまだ伸びる可能性あり〔PHOTO〕gettyimages

「持っている」ヒーローが誕生の予感だ。阪神・藤浪、西武・菊池という球界屈指の剛球投手から初対決でヒットを放った。身体能力だけの男ではないから面白い。楽天の期待を背負う新星に迫る。

長身なのにしなやか

2月上旬、楽天がキャンプを張った沖縄・久米島の上空は、強風が吹き荒れていた。久米島野球場の旗が音をたててたなびく中で行われた外野ノックで、ルーキー・オコエ瑠偉(18歳)の才能が、キラリと光った。

ライトからセンター方向に向かって打った打球は、フォローの風に乗って伸びる。他の先輩野手は、打球に追いつくことさえできなかった。しかし、オコエは違った。

上空にボールがあがったのを見ると、まるで落下点がわかっているかのように、打球から目を切って猛スピードで背走する。ボールが強風に乗ってフェンスに向かってぐんぐん伸びるにつれ、オコエのストライドも伸びた。フェンス手前で体をくるりと向き直し、捕球すると、周りにいた野手たちからは、どよめきの声があがった。

12球団のキャンプを見て回った野球評論家の江本孟紀氏もオコエを見て、声を上ずらせた。

「体だけ見たら、もう(公式戦で)使ってもいいんじゃないかと思った。投手では大谷(翔平、日本ハム)や藤浪(晋太郎、阪神)が1年目から出てきているけど、野手になると、捕手の森(友哉、西武)でも一軍に定着したのは2年目からだった。

体の肉のつき方は強さを感じさせながら、動きがやわらかい。だからプロの変化球にもついていけている。体が柔らかくて動物的な反応をした、鉄人・衣笠(祥雄)さんをほうふつとさせる。野性味あふれる動きで、オコエの中に眠る未知の底力を発揮してほしいね」

身長が2m近くあるナイジェリア人の父と日本人の母の間に生まれたオコエは、高校生の中ではずば抜けた守備範囲と走力を買われ、昨年秋のドラフトで楽天から1位指名された。

そうは言っても打撃には課題があり、これまでの他の高卒選手同様、金属と木のバットの違いに苦しみ、一軍定着までは時間がかかる、と見られていた。関係者の間では即戦力ではなく、将来性を重視されていたのである。